『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

大船渡市末崎町の山岸仮設・平林仮設の撤去作業が完了間近

これまで何度か、大船渡市末崎町の山岸仮設(末崎小学校校庭)、平林仮設(末崎中学校校庭)の撤去の様子をご紹介してきましたが、撤去の様子をご紹介するのも今回で恐らく最後。

写真は先日(9月4日)に撮影したものですが、山岸仮設、平林仮設とも集会所、談話室を含め全ての棟の撤去が終わっていました。7月の撤去開始から、ほぼ2ヶ月で棟の撤去がほぼ終わったことになります。
棟の撤去も終わり、小中学校の校庭として利用されるようになればよいのですが、実は校庭に戻すためにはここからの時間がかかってしまうという話です。土を入れる作業を行う必要があるのですが、冬までには作業が終わるのではないかという話もあれば、来年の運動会(5月)に間に合うかどうかという話もあり、いずれにしても校庭として利用されるまでには、まだしばらく時間がかかるようです。

先週、台風10号が大船渡に上陸したこともあり、今まで仮設住宅に支援・ボランティアに来た方からは、安否を尋ねる連絡が仮設住宅にあったとのこと。大船渡市末崎町の仮設住宅は近い将来なくなりますが、仮設住宅を通して築かれた関係を継続することは大切だと改めて思いました。
これから人口が減少していく地方にとっては、全てを地域内で完結させるというのは難しくなってくる。だから、地域を越えた関係をいかに築いていくかが大切だと思います。そして、このような関係は地方の人にとっても、都会の人にとっても意味あるもの。このような関係をゼロから築き上げることは難しいですが、仮設住宅を通して、あるいは、震災を通して既に関係は築かれてきた。これは大きな財産になると思います。

仮設住宅と言えば、現在、大田仮設(市営球場)では毎朝、ラジオ体操が行われています。このラジオ体操には、既に仮設住宅から退去された方も参加されています。わざわざ5〜10分ほど歩いてラジオ体操に参加されます。
仮設住宅から退去されてもなお、仮設住宅に顔を出される方がいるというのは想像もしていませんでした。しかもその中の1人は、大田仮設ではない仮設住宅にお住まいだった方。今でもラジオ体操に参加されている理由としては、支援員の方が声をかけたから、仮設住宅には顔見知りの人と会えるから、現在お住まいの所ではラジオ体操が行われていないから等を考えることはできますが、この方々にとって仮設住宅とは、避難所を出て、高台移転するまでの間に住む「仮」住まい以上の意味を持っているということだと思います。
上では仮設住宅を通して築かれた地域を越えた関係について書きましたが、それと同時に、仮設住宅内で築かれた関係の良い部分をどうやって高台移転完了後の地域へと継承していくかということも、震災後の経験を大切にすることの1つの形ではないかと考えています。

山岸仮設の撤去の様子

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平林仮設の撤去様子

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