2017年4月23日(日)、「ひがしまち街角広場」主催の「春の竹林清掃&地域交流会」が開催されました。天候にも恵まれ、若い世代、子どもを中心として約150人の参加がありました。
「ひがしまち街角広場」は2001年9月30日、千里ニュータウン・新千里東町近隣センターの空き店舗を活用してオープンしたコミュニティ・カフェ。オープンから半年間は豊中市の社会実験として運営されていましたが、その後は豊中市からの補助金を受けない自主運営がなされてきました。新千里東町の住民を中心とするボランティア・スタッフにより15年以上の運営が継続されてきました。
「ひがしまち街角広場」ではイベント・行事で人を集めるのではなく、特別な用事がなくても訪れ、思い思いに過ごせる場所になることを大切にしています。この「ひがしまち街角広場」が主催する数少ない行事が、毎年4月の「たけのこ掘り」です。
「たけのこ掘り」の会場は東町公園。千里ニュータウンの地区公園として作られた8.2haの公園です。千里ニュータウンの計画が行われた半世紀前、日本にはまだ「ランドスケープ」の考え方はありませんでした。そこに、アメリカで学んだ方が千里ニュータウン計画に加わったことで、東町公園は千里中央から徒歩数分の位置にありながら、ニュータウンが開発される前の千里丘陵の植栽・地形が残された貴重な場所となっています。公園内にある長谷池は、かつて上新田集落の農業用のため池でした。
東町公園は市有地であり、「たけのこ掘り」開催にあたっては豊中市からの入場許可を得ています。目的は(竹の子を掘ることではなく)住民が竹林を清掃することと、竹林清掃の一環として掘った竹の子を使った料理(バーベキュー、豚汁など)を食べることによって住民が交流する機会を提供することです。
「たけのこ掘り」は、2002年4月21日に第1回目のが開催されてから毎年続けられてきました。2006年からは「たけのこ祭り」と改称し、2014年は「竹林祭り」として開催されました。けれども新千里東町内の集合住宅の建替えで若い世代が増えたこと、また、「たけのこ掘り」が有名になり新千里東町外からの参加者が増えたことなど で、参加者は次第に増え、400人以上が参加する行事となりました。それに伴って、竹林の清掃、地域住民の交流という趣旨が薄れてきていました。また、参加者が多くなり過ぎて、主催者、協力者の負担が大きくなっていました。そのため、2014年を最後に「たけのこ掘り」は中止となっていました。
今年、「たけのこ掘り」を再開するにあたっては、住民が自分たちの地域の環境を改善するとともに、作業を通して住民同士の交流を図るという当初の目的に立ち戻り、「春の竹林清掃&交流会」として再開し、当日は千里ニュータウンや東町公園の歴史を紹介する時間もうけたり、パネルを展示したりすることとしました。そして、参加者は新千里東町の住民に限定し、事前申込み制としました(参加者は数日前には150人に達していたとのことです)。
「ひがしまち街角広場」が主催し、「千里竹の会」の12人、「東丘ダディーズクラブ」の5人、「ディスカバー千里」(旧・千里グッズの会)の4人も協力しました。「千里竹の会」、「ディスカバー千里」は「ひがしまち街角広場」をきっかけとして生まれたグループ。「東丘ダディーズクラブ」は東丘小学校の児童の父親によって立ち上げられたグループで、懇親を兼ねた会合を「ひがしまち街角広場」で開いています。
4月23日(日)、「ひがしまち街角広場」のスタッフや協力グループのメンバーは9時頃から準備を進めていきました。
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10:00過ぎから「春の竹林清掃&交流会」がスタート。
最初に「ディスカバー千里」から、パネルを使って東町公園がニュータウン開発前の千里丘陵の姿をとどめていることなどの歴史を紹介。次に「千里竹の会」から、竹林清掃にあたっての注意事項が説明。急な斜面があるので滑らないように気をつけること、地上から15cm以上出ている竹の子は固くて食べることができず、世代交代のために育てているので残しておくこと、そして、竹の子を掘った穴は土で埋めることなど話がありました。
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この後、竹林に入って作業を開始。小さなスコップだけでは竹の子を掘るのは難しかったかもしれませんが、「竹の会」のメンバーに助けられながらの作業となりました。1時間ほどで作業を終え解散。作業の後、「ひがしまち街角広場」のスタッフが若い世代の女性に、どうやって竹の子を茹でるのかを説明している光景も見られました。
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この日の「春の竹林清掃&交流会」は次のような意義があったと考えています。
①多世代の参加があったこと
高齢の世代が中心となる「ひがしまち街角広場」のスタッフが企画・運営した活動に、若い世代、子どもが参加したことは、高齢の世代にとっては地域で役割を担う機会になったとともに、若い世代、子どもにとっては家庭・学校では接することができない人との関わりの機会になりました。
②住民による地域環境を改善するための具体的な活動であること
2002年に「たけのこ掘り」が行われた原点に戻ったわけですが、住民が自分たちが生活する地域の環境を改善する活動を行ったことは重要です。お祭り的なイベントももちろん重要ですが、地域環境を改善することも地域活動の大きな柱。竹の子を掘るのではなく、地域環境の改善と、その作業を通して住民同士の交流を図るという目的は来年度以降も忘れないようにする必要があります。
③地域のグループの連携が行われたこと
「春の竹林清掃&交流会」には専門性・得意なことをもつ「千里竹の会」、「ディスカバー千里」、「東丘ダディーズクラブ」というグループの協力がありました。いずれも、「ひがしまち街角広場」にゆかりのあるグループです。日常的には同じ傘の下に入って活動しているわけではありませんが、何らかの機会があれば専門性や得意なことをいかして協力し合う。このようなグループが多数ある地域が好ましい地域と言えるのかもしれません。
また、今回の行事は「ひがしまち街角広場」が、安い値段で飲物を提供するカフェではなく、多世代の人々、多様な専門性をもった人々が集まる機会を作り出せるという意味で、地域の拠点になっていることを改めて浮かび上がらせることにもなりました。「ひがしまち街角広場」が担うこの役割も、きちんと地域で共有していく必要があると思います。