プンゴル・ディスカバリー・キューブ:シンガポール最新のニュータウンを紹介する場所

少し前、シンガポールのプンゴル(Punggol)を訪問しました。シンガポールでは国民の約8割がHDB(Housing and Development Board:住宅開発局)が建設する団地に住んでいます。
プンゴルはHDBが開発している最新のニュータウンで、シンガポールで初めてのエコ・タウン。シンガポールの北東に位置し、地下鉄東北線(MRT North East Line)の終着駅に開発。2015年の人口は109,750人。面積は9.34㎢で人口密度は約11,750人/㎢となります。参考までに千里ニュータウンの2015年の人口は97,156人(上新田を除く)で、面積は11.6㎢。人口密度は8,375人/㎢となり、プンゴルの方が高密度で計画されていることがわかります。

2017年1月15日、プンゴルにプンゴル・ディスカバリー・キューブ(Punggol Discovery Cube)という、プンゴルの情報を紹介するビジター・センターがオープンしました。同時にプンゴル、べドック(Bedok)の街を紹介するモバイル・アプリケーション「Our Heartland Trails」も公開されています。

プンゴル・ディスカバリー・キューブ基本情報

  • 開館日:週6日(月曜は定休日)
  • 開館時間:10時~20時
  • 入館料(展示閲覧):無料
  • 最寄駅:地下鉄東北線(MRT North East Line)のPunggol駅下車、徒歩数分
  • 住所:85 Punggol Central, Singapore 828726(タウンセンター:ウォーターウェイ・ポイント(Waterway Point)のすぐ北側)

プンゴル・ディスカバリー・キューブの前は、プンゴル・タウン・スクエア(Punggol Town Square)という屋根のある広場。訪れた日には何も行われていませんでしたが、旧正月の飾り付けがなされていました。

プンゴル・ディスカバリー・キューブの建物は3階建の建物で、名前の通り立方体の形をしています。

1階の中央にはプンゴル(Punggol)の大きな模型が展示。運河を組み込んだニュータウン計画、直交する道路、LRT(Light Rail Transit)による交通システム、中庭を囲んだ囲み型の住棟配置、タウンセンター、近隣センターの位置など、プンゴルの全体を把握することができます。大きなスクリーンで上映されている動画からは、ニュータウンが開発されるまでのこの土地の歴史や、プンゴルのニュータウン開発においてどのようなことが考えられたかなどを知ることができます。

2階は、床の一部が吹き抜けになっており、1階に置かれた模型を見下ろすことができます。2階にはプンゴルを紹介するタッチスクリーン式のディスプレイが設置。
壁にはプンゴルの年表が掲示されています。年表は「プンゴルの過去」、「プンゴルの開発計画」、「シンガポール最初のエコ・タウン」、「コミュニティの創造・接続」、「プンゴルの将来計画」の5つの項目に分けられています。特に興味深いのは「プンゴルの将来計画」の項目で、次のように紹介されています。

  • ダウンタウン:既存のタウンセンターを拡張することで、人々に住宅の近くで多様な活動、仕事の機会を提供する。合わせて学びの場所も提供する。
  • 移動性の向上:新しいMRT駅、LRT、高速道路によりプンゴル内、あるいは、シンガポールの他の部分への通勤の利便性が向上。
  • 新たな住宅地区と「スマート」な暮らし:北側のウォーターフロントには、生活環境の質を高めるための「スマート」で持続可能な解決方法を有するHDBの最初の「スマート」でエコ・フレンドリーな(環境に優しい)地区が開発。
  • スポーツ・レクリエーション:地域のスポーツセンターは、プンゴル・ウォーターウェイ、SAFRA(レジャー施設)との統合により、より幅の広いスポーツ、イベントの機会を提供する。

プンゴルはシンガポールで最新のニュータウンで現在も開発が進められていますが、年表の「プンゴルの将来計画」に掲載された内容は、シンガポールのニュータウンがどのような方向を目指しているかを伺う上で興味深い内容だと思います。

プンゴル・ディスカバリー・キューブの3階はセミナー室。屋外は展望テラスになっており、タウンセンター、建ち並ぶ住棟、運河を一望することができます。


上で紹介した通り、プンゴルはMRT(地下鉄)駅を起点として、東西にLRTが走っています。無人運転のLRTが、高層の住棟の間を走る光景は近未来的です。

LRTのオアシス駅(Oasis Station)に隣接して建設されているオアシス・テラス。総合診療所を統合した新たな近隣センターとして計画されている建築。既に一部がオープンしており、2018年度中には全館オープンするとのことです。
オアシス・テラスは運河に面して大きなテラスが特徴的ですが、今の千里ニュータウンにこうしたある意味ワクワクする建築が建てられているだろうか? 千里ニュータウンでは近隣センターの新たなアイディアが提案されているだろうか? と考えさせられました。
もちろん、建築(物理的な環境)だけで暮らしの質は測れないのは当然ですし、他の国と競う必要もありませんが、今の千里ニュータウンの売りは、ハードではなくソフト的な仕組みということになるのかもしれません。


※この記事に掲載の情報は2018年3月時点のものです。

※参考