『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

プンゴル:最新のニュータウンにおける新世代の近隣センターとヘリテージ・トレイル

シンガポールでは国民の約8割HDB(Housing and Development Board:住宅開発庁)が建設する住宅に住んでいます。
プンゴル(Punggol)はHDBが開発を進める最新のニュータウン。MRT北東線(MRT North East Line)の終着駅の周りに開発されています。

1996年、新しい住宅地を開発するためのプンゴル21(Punggol 21)が発表され、1998年から開発が始まりました。しかし、1997年のアジア通貨危機、2003年のシンガポールの建設業界の金融トラブルの影響を受け、計画が完成することはありませんでした。そこで、2007年に新たにプンゴル21・プラス(Punggol 21+plus)が発表され、これに基づき開発が継続されています。Punggolの面積は9.57km2、うち住宅地は3.74km2。2018年の面積は161,570人となっています*1)。

プンゴルを巡る無人運転のLRTの車窓からは、近未来的な光景が見られます。

プンゴルはまだ開発が続けられていますが、いくつかの興味深い動きをご紹介したいと思います。

オアシス・テラス(Oasis Terraces)

2017年11月24日にオープンしたオアシス・テラス(Oasis Terraces)は新世代の近隣センターと位置づけられている場所です。

プンゴルのオアシス・テラスはプンゴル・ポリクリニック(Polyclinic)を統合した新世代の近隣センター(Neighbourhood Centre)です。LRTのオアシス(Oasis)駅に隣接し、〔運河の〕マイウォーターウェイ@プンゴル(MyWaterway@Punggol)の傍にあります。広さ18,000m2の小売スペース、様々なお店、飲食店、コミュニティ施設があります。ユニークな特徴は、遊び場のあるカスケード状(段々状の)の庭園と、屋根のある大きなコミュニティ・プラザです*2)。

オアシス・テラスの各階は次のような構成になっており、様々な施設が入っていることがわかります。

  • 6階:屋上庭園
  • 5階:保育園、エンリッチメント学校(Enrichment School)、ファミリー・ルーム
  • 4階:フード・コート、ショップ&レストラン
  • 3階:インフォメーショ・ンカウンター、ショップ&レストラン
  • 2階:イベントスペース、ショップ&レストラン、タクシー乗り場、降車場
  • 1階:コミュニティ・プラザ、ショップ&レストラン
  • 地下1階:スーパーマーケット、ショップ&レストラン、駐車場

北側の運河からの眺め。2つのボリュームに挟まれた間がカスケード状の庭園になっているという特徴的な形態。右側のボリュームに見えるのがコミュニティ・プラザ。
運河に橋(Wave Bridge)がかかっており、橋を通ってオアシス・テラスに入っていく人、オアシス・テラスから出てきた人が橋を通って運河を越えて行く人など、オアシス・テラスは新たな人の流れを生み出しているようでした。

コミュニティ・プラザの面していくつかの店舗。ただし、訪れた時は一画で工事が行われていました。

庭園は緑化がなされており、ベンチ、遊具が置かれています。非常に暑い日でしたが、庭園のハンモックの周りに中学生くらいの子どもたちが集まっていました。

南側ではLRTのオアシス(Oasis)駅に直結。
デッキからは、コミュニティ・プラザの方向を見渡すことができるようになっており、左側がポリクリニックのエリア、右側がショップ・レストラン、コミュニティ施設などが入るエリアとなっています。

東西両側ボリュームの6階部分は屋上庭園として無料で開放されており、運河、及び、HDBの住棟が一望できる眺望スポットになっています。
西側のボリュームの屋上庭園の方が広く、フィットネス・コーナー、ムヒバ・ガーデン(Muhibbah Garden)という植栽のされたコーナーがあります。

ヘリテージ・トレイル(Heritage Trail)

プンゴルは最新のニュータウンとして開発されていますが、印象に残っているのは緑、歴史への配慮がなされていること。このことは、例えば、ヘリテージ・トレイル(Heritage Trail)に現れています。

ヘリテージ・トレイルは、ニュータウンとして開発される前のプンゴル・ロードを遊歩道として整備し直したもの。周りの植生は保護され、通りには野生の動植物のことや、漁村時代のことなどがパネルで紹介されます。

ヘリテージ・ロードの起点は、運河、マイウォーターウェイ@プンゴル(MyWaterway@Punggol)にかかるケロング橋(Keong Bridge)の北側。まだ工事中ですが、起点となる付近には動植物を紹介するパネルが展示。近くにはかつて利用されていたバス停が残っていました。


MRTプンゴル駅の北部~北東部にかけての地区は現在開発が進められています。北東部のノースショア地区(Northshore District)は高層の住棟が建ち上がっていますが、デジタル地区(Digital District)、プンゴル・ポイント地区(Punggol Point District)の開発はまだこれから。上で紹介したヘリテージ・ロードは、デジタル地区(Digital District)、プンゴル・ポイント地区(Punggol Point District)を通り抜け、ウォーターフロントのプンゴル・ポイント公園(Punggol Point Park)に到達する計画となっています。
近代的な近隣センターであるノースショア・プラザ(Northshore Plaza)、コミュニティ・センター、ホーカー・センター、図書館や他のコミュニティ施設が入居するプンゴル・タウン・ハブ(Punggol Town Hub)、シンガポールで初めての企業地区であるデジタル地区(Digtal District)などが計画されており、シンガポール最新のニュータウンであるプンゴルは、まだまだ進化が続きます。