『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

大船渡市末崎町の大田団地・門之浜湾の様子(2018年9月)

先日、知り合いが大船渡・陸前高田を訪問しましたので、東日本大震災の津波で被災したエリアの現状をご紹介しました。

大船渡市末崎町の門之浜湾に面した土地は、末崎町には珍しい平坦な土地で震災前には約250戸が建ち並ぶ新興住宅地でした(1971年5月に宅地分譲開始)。東日本大震災の津波により海側が大きな被害を受け、戸数は100戸以下になりました。

海岸線に沿って建設された海面から12.8mの高さの防潮堤はほぼ完成しており、初めて目の前で見た方は驚いておられました。ただ、こうした防潮堤が建設されたのはこの門之浜湾だけでなく、東北のほぼ全ての湾部に建設されていることを思うと恐ろしい気持ちになります。

旧・大田団地を東西に走る道路も完成。この道路は第二防潮堤としての役割が期待されています。
この道路を境にして内陸側は居住エリア。津波を免れた住宅とともに、新たな住宅などの建物が何軒か建設されています。ただし、津波で流された土地は雑草が生えており放置されているような印象を受けます。

一方、道路を境にして、海側には産業用地とされており、大船渡市が誘致する「いわて銀河農園」(紫波町)のトマト工場が開業することになっています。トマト工場は2018年4月13日に地鎮祭が行われ、現在、建設工事が進められています。2018年9月7日にはパート社員募集説明会が行われています。

敷地面積は約3.2ヘクタールあり、市が29年度の敷地造成や防火水槽工事を実施。いわて銀河農園では昨年5月に市と企業立地協定を結んでこの用地を借り受け、建築面積約1.6ヘクタールの生産技術高度化施設を整備する。総事業費は約6億5000万円で、国の産地パワーアップ補助金を活用する。
施設は鉄骨造り平屋建てのビニールハウスで、トマト栽培棟と集出荷施設棟(管理棟も含む)で構成。施設では、24時間体制で温度や湿度、日射量、二酸化炭素濃度を管理。好環境を維持しながら、土を使わない養液栽培でトマトを通年生産する。
施設完成後は11月ごろに苗を定植し、年明けの初出荷を目指す。
*「トマト栽培施設着工へ、いわて銀河農園が地鎮祭」・『東海新報』2018年4月14日

一緒に訪問した方から、旧・大田団地、門之浜湾について次のような質問がありました。

  • 防潮堤に所々取り付けられている階段は何のためのものか?(津波で水門が閉まった後、この階段を乗り越えて海から陸に避難するため?)
  • 新設道路の内側の居住エリアのうち、浸水した土地(雑草が生い茂っている部分)は今後どのように利用される計画なのか?(公園にされる?)

(更新:2020年9月19日)