『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

シンガポールの自転車道@アン・モ・キオ

シンガポールではエコロジーの様々な取り組みが行われて行われています。車に依存しない通勤・通学(グリーン・コミューティング:Green Commuting)もその1つで、これを実現するために自転車道(サイクリング道)の設置が進められています。

自転車道の整備が進められている街の1つ、アン・モ・キオ(Ang Mo Kio)の自転車道を紹介したいと思います。


アン・モ・キオはダウンタウンの北に位置。最初のHDBが完成したのは1975年と、古くからHDB(Housing and Development Board:住宅開発庁)によって開発されてきた街。HDBが1992〜2024年まで用いていた分類では「成熟した団地」(Mature estate)に分類されています。

自転車道設置の第一フェーズとして、2016年7月9日にMRTのアン・モ・キオ駅の南~南西にかけての主要道路沿いに自転車道が完成。第二フェーズでは、アン・モ・キオのほぼ全域の主要道路沿いに自転車道が設置される計画です。

第一フェーズで完成した自転車道はアン・モ・キオ・アベニュー1(Ang Mo Kio Ave 1)、アン・モ・キオ・アベニュー3(Ang Mo Kio Ave 3)と、MRTの高架/アン・モ・キオ・アベニュー8(Ang Mo Kio Ave 8)に囲まれた東西に細長いループ部分です。

アン・モ・キオ・アベニュー1/アン・モ・キオ・アベニュー3

自転車道

赤く舗装された部分が自転車道。自転車道が始まる部分には、黄色で自転車の絵が描かれています。

自転車と歩行者の共用部分

バス停の周り、駐車場の出入り口、交差点では自転車道が途切れ、自転車と歩行者の共用部分となります。共用部分が始まる部分には赤で自転車と歩行者の絵が描かれ、道の両端には赤の破線が引かれています。

共用部分が始まる直前には、自転車に対して注意を喚起するため黄色で「SLOW」と描かれ、同時に黄色い横線6本が引かれています。

歩いている時、自転車、電動バイク、電動スクーターに乗った人が通り過ぎるのを何度も見かけました。電動バイク、電動スクーターは自走する乗り物ですが、シンガポールでは自転車道を走行することが認められているようでした。

シンガポールにはスマートフォンによるGrab(グラブ)というカーシェアリング・サービスがあります。Grabは、Grab Food(グラブ・フード)という食事のデリバリーのサービスを展開しており、Grab Foodのシャツを着て電動バイク、電動スクーターに乗っている人も頻繁に見かけました。

MRTの高架下(アン・モ・キオ・アベニュー8沿い)

MRTの高架下も自転車、歩行者の道として開放されています。自転車道、自転車と歩行者の共用部分のマークは他の部分と同じです。

MRTの高架下と、西側にあるアン・モ・キオ・アベニュー8、及び、東側にある土地との間には高低差があります。階段で行き来できるようになっていますが、階段の右端が青く塗装され、自転車を押して昇降できるようになっています。

MRTの高架下には、高架の柱、及び、周りの床に絵が描かれている部分、「小さな熱帯雨林 in アン・モ・キオ」(A Mini Rainforest in Ang Mo Kio)というタイトルがつけられた緑が植えられたケースが置かれた部分、フィットネス器具が置かれた部分がありました。MRTのアン・モ・キオ駅の近くには駐車場があり、いくつかベンチも置かれていました。

ツール・ステーションとして、自転車の状態をチェックするためのレンチ、ネジなどのツールが備え付けられているのも興味深いと思いました。

高架下でも自転車に乗っている人、ウォーキングしている人を見かけました。バス停近くに自転車が止められているのも見かけました。バス停まで自転車で来て、ここからバスに乗って通勤・通学する人もいるということだと思います。


アン・モ・キオ・アベニュー1(Ang Mo Kio Ave 1)、アン・モ・キオ・アベニュー3(Ang Mo Kio Ave 3)、アン・モ・キオ・アベニュー8(Ang Mo Kio Ave 8)が交差する3ヶ所には、自転車道を案内する掲示がされています。


参考

(更新:2024年2月14日)