『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

街かどデイハウス千里(2026年10月)

新千里東町のUR新千里東町団地は、現在、UR千里グリーンヒルズ東町への建て替えが進められています。第一期の再開発はC27〜30号棟の高層の住棟と集会所が対象で、2020年11月、UR千里グリーンヒルズ東町の101・102・103号棟の3棟、380戸、2025年6月には、UR千里グリーンヒルズ東町の104・105・106号棟の3棟、372戸への入居が始まりました。

現在、中層の住棟を対象とする第二期の再開発が始まっています。第二期の対象になるのは、団地南西のC1~8号棟、及び、北東のC22~26号棟のあわせて13の住棟で、2026年9月時点では建物は取り壊され、更地になっています。

まだ再開発の対象とされていない住棟で、「街かどデイハウス千里」(街デイ千里)という場所が開かれています。2018年5月15日(火)にオープンした場所で、団地の住民らによって運営が続けられています。

2026年10月23日(金)、「街かどデイハウス千里」を訪問する機会がありました。

街かどデイハウス千里

「街かどデイハウス」は元々、大阪府の補助事業として開始されました。その後、府内の市町村に移管されています。
豊中市のウェブサイトによると、現在、「街かどデイハウス」はUR新千里東町団地を含めて、豊中市内の5ヶ所で運営されています。「地域で高齢者の自立生活を支えられるよう、通所により体操などの介護予防活動や給食、レクリエーション・創作活動などのサービスの提供」を受けることができる場所で、「おおむね65歳以上で、要支援・要介護認定を受けていない人」が対象とされています*1)。

「街かどデイハウス千里」が開かれているのは、UR新千里東町団地、C21棟の101号室。部屋の間の扉や、押し入れの扉が取り払われていますが、住戸がほぼそのままの形で使われています。月曜日から土曜日の週6日運営されており、ウクレレ、着物リメイク、自然観察、書道、太極拳、麻雀など様々なプログラムが行われています。太極拳、自然観察など一部のプログラムは101号室の外で開かれているものもあります。プログラムの参加費は400円ですが、飲物が100円で提供されており、飲物を飲みに立ち寄ってもよいとのこと。困りごと相談、包丁研ぎ、スマートフォン講座などは、プログラムに関わらず随時対応とされています。以前は昼食も提供されていましたが、新型コロナウイルス感染症によって中止したということでした。
代表の方の話では、集会所では色々な物を置いて帰るわけにはいかないけれど、ここであれば様々な物を保管し、利用することができるということでした。集会所でなく、空き住戸を活用した拠点であることの意味が、この言葉に表れているように思います。

「街かどデイハウス千里」は、当初から「してもらう人、する人じゃなしに、みんなで運営していきましょう」という考えで運営されています。代表の方に、プログラムはどのように決めているかと伺ったところ、日々の関わりを通して、この人は力がある、講師になってもらえるということがわかれば、その人に講師をしてもらえるようなプログラムを企画することもあるということでした。
興味深いのは、豊中市の補助事業としての対象者は「おおむね65歳以上で、要支援・要介護認定を受けていない人」ですが、「街かどデイハウス千里」では、要支援・要介護認定を「受けている人」にプログラムの講師になってもらうこともあるということです。訪れた日は自然観察が行われていたようですが、講師の男性は足が悪いけれど、講師を担当してくれているということでした。また、事務などを担当されているスタッフには40代の人もいるとのこと。前を通りかかると、中から笑い声が聞こえてきたので覗いてみたところ、自分の母親ぐらいの年齢の人たちが楽しそうに色々なことをしているのを見て、仲間に入れて欲しいと入って来られた人もいるということでした。

次のような話も伺いました。麻雀に来ている人がハイキングをしているということを知り、その人を講師とするハイキングを始めたということです。2026年11月には京都の嵐山に行く予定だとのこと。
ハイキングには、80代の女性も参加しているという話を聞きました。この女性は、初めてのハイキングで靴が合わず足を痛めたとのこと。女性が、次のハイキングは無理かもしれないと、プログラムの参加者らによるSNSのグループに投稿したところ、投稿を読んだ別の参加者が「自分の靴を使ってください」と申し出て、顔も知らない者同士が待ち合わせて、靴の受け渡しをしたと伺いました。高齢の方にとって、「街かどデイハウス千里」は様々な人との出会いがある場所で、「全く違う人たちと話をして、じゃあ私も、という雰囲気になる」こともある。代表の方は、何歳になっても、新しいことをしたいという気持ちをもてることは素晴らしいと話されていました。

豊中市のウェブサイトに「地域で高齢者の自立生活を支えられるよう」と書かれているように、「街かどデイハウス」は高齢者をサポートするための事業です。このことが重要であるのは言うまでもないですが、「街かどデイハウス千里」では、高齢者が一方的にサポートされる存在でなく、得意なことを通して役割を担ったり、新たなことに挑戦したりする存在としていることができる。「してもらう人、する人じゃなしに、みんなで運営していきましょう」という考えを実現するために、行政の補助事業をうまく使いこなしておられることが印象に残っています。
役割を担うこと、新たなことに挑戦することに年齢は関係がないのだということ。そして、「全く違う人たちと話をして、じゃあ私も、という雰囲気になる」と話されていたように、様々な人たちとの出会いが、そのきっかけになるということ。これが、地域で暮らすということなのだということに気づかされます。

なお、「街かどデイハウス千里」が開かれているUR新千里東町団地のC21棟も、いずれ取り壊されるということですが、再開発されるUR千里グリーンヒルズ東町にも「街かどデイハウス千里」を行うことができる場所が計画されているということです。


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