『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

グリーンベルト2012年

アメリカ・メリーランド州のグリーンベルトの地域新聞「グリーンベルト・ニューズ・レビュー(Greenbelt News Review)に「Greenbelt in 2012」というブログが紹介されていました。

グリーンベルトにお住まいの写真家の方が、まちびらき75周年を迎えるグリーンベルトの1年間の物語を記録するため、イベントや日々の光景を撮影した写真や、録音した音声を掲載しているブログです。

写真で街を記録すること。


話は80年程前にさかのぼります。グリーンベルトはフランクリン・D・ルーズベルト(1882年1月30日〜1945年4月12日)のニューディール政策によって作られた街ですが、当時、農業安定局(FSA=Farm Security Administration)により、写真を用いてニューディール政策の効果をアピールするというFSAプロジェクトが行われました。

アメリカ合衆国のFSA(Farm Security Administration;農業安定局または農業保障局)が、1929年の世界恐慌勃発後のアメリカの(主として南部)農村の惨状およびその復興を記録するため(一方で、農民救済の必要性を訴え、一方で、ニューディール政策の効果をアピールするため)に行ったプロジェクト(1935年から1944年)である。

手法としては、写真が用いられた。このプロジェクトにより生み出された10万枚以上の写真が、アメリカの国会図書館 (Library of Congress) にコレクションとして現在も保存されている。なお、本プロジェクトのディレクターは、経済学者でもある、ロイ・ストライカー(Roy E. Stryker; 1893年- 1975年)である。
・・・(略)・・・
そのような問題をはらんではいたものの、このプロジェクトの写真作品は、ドキュメンタリー写真(報道写真の一部)の、また、ストレートフォトグラフィの重要な実例として、それぞれにおける金字塔となっている。
*Wikipedia「FSAプロジェクト」のページより

そうそうたる顔ぶれ写真家が参加して進められたFSAプロジェクト。
グリーンベルトもたくさんの写真が撮影され、上に引用したWikipediaのページにも書かれているように写真は国会図書館に保管されています。先日ご紹介したグリーンベルトの本にも、この写真が使われています。
そして、FSAプロジェクトで撮影された写真はウェブ上でも閲覧することができます。
America from the Great Depression to World War II: Black and White Photographs from the FSA-OWI, 1935-1945」で「Greenbelt MD」と入力して検索すると、当時撮影された写真の数々を閲覧することができます。

Greenbelt in 2012は、FSAプロジェクトにインスパイアされた写真家の方が、ブログなど現在の技術を用いて進めているプロジェクトです。例えば、

などが、写真とともに掲載されています。

グリーンベルトでは、初期の入居者がパイオニアと呼ばれて敬意を払わていますが、キックオフ・イベントにも2人のパイオニアが参加されています。このイベントでのグリーンベルト市長のスピーチは、パイオニアへも、「未来のパイオニア」である15歳以下の子どもたちにも敬意が払われた素敵なスピーチです。

(更新:2018年4月23日)