フィリピン、カナンガのマサラヤオ地区での大工仕事を終えた後、地元の女性がきのこ・もやしを栽培する方法を教えて下さいました。きのこは、バナナの木の葉(?)ときのこの菌などを入れたポリバケツをビニール袋にかぶせて育てるようで、10日ほどで育つとのこと。もやしは、ポリバケツに種(豆)と濡らした麻の布を何重かに重ねて敷いていくようです。1月でも25〜30℃あり、かつ、湿度の高い地域だからこその栽培方法です。
栽培方法を教えてくださった場所はバランガイ・ホールと呼ばれる地区ホール。バランガイとはフィリピンにおける最小の地方自治単位。例えば、カナンガには23のバランガイがあり、マサラヤオ(Masarayao)はその1つ。
バランガイの中心にあるのがバランガイ・ホールで、ここでは様々な行事が行われようです。マサラヤオ地区のバランガイ・ホールの室内には選挙で選ばれたバランガイの議長、議員の写真が飾られていました通訳をしてくださった方の話によると、フィリピンではバランガイ内で争いごとがあった時には、警察に行かず、まずバランガイ・ホールに行くとのこと。フィリピンでは、マサラヤオ以外に何ヶ所かのバランガイ・ホールに行きましたが、バランガイ・ホールの周りにはチャペル(礼拝堂)とバスケットボール・コートがある場所が多かったです。
バランガイ・ホールの前できのこ・もやしの栽培方法を聞いていると、地元の人がたくさんやって集まってきました。栽培方法を説明している周りを輪になって取り囲む人。少し離れたところで立ち話をする女性たちと、その周りを歩き回る小さな子ども。もう少し大きな子どもは、丸い板の切れ端をメンコのようにして遊んでいる。このように高齢者から子どもたちまで、何世代もの人々が自然に集まってくる場所。大人たちは世間話をし、子どもたちはその周りで(大人の目の届くところで)遊びまわる。バランガイ・ホールは行政的な意味での中心だけでなく、地元の人々が集まる場所という意味でも中心になっていると感じました。
近年、日本では地域の人々が集まったり、コミュニケーションをとるために「まちの居場所」(コミュニティ・カフェなど)が各地に開かれていますが、フィリピンではあえてそのような場所を作らなくても、人々が自然なかたちで集まってくる場所が存在している。このことは、今の日本の状況からすると羨むべきことかもしれません。
日本との違いということでは、フィリピンには子どもがたくさんいることに驚きます。(自身が子どもの頃は、近所には2〜3人の兄弟姉妹がいる家があったので、子ども同士で走り回ったのを記憶していますが)子どもがこんなにたくさんいて、あちこち走り回ってる光景は、日本ではほとんど見かけなくなったなと実感しました。
(追記)現地の方に聞いたところ、バランガイ・ホール、チャペル(礼拝堂)、バスケットボール・コート、ヘルス・センター(Health Center)の4つがセットになっているとのことです。
(更新:2015年11月5日)