『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

地域の課題を自分のこととして認識し、自分にできることをすること

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「居場所ハウス」では日々、色々な話題が交わされています。先日、薪ストーブの周りで話題になっていたのは「自分たちがこれから歳をとっていった時にどうやって暮らしていくか?」という内容。

会話に加わっていた1人の方が、「この前、ワークショップで話をしたように、自分もいつまでも車に乗ってるんじゃないんだから、いつかは車を手放さないといけないんだから。絵空事じゃなくて、自分のこととして考えないといけない」と話されました。
先日のワークショップというのは、日建設計ボランティア部とNPO法人Ibasho Japanとの共同で12月に行ったもののこと。ワークショップでは地図を使いながら、地域にどのような課題があるかを買い物、医療、コミュニティの3つの観点から意見を出し合いました。その時に課題とされたのが、車に乗れなくなると日々の暮らしが大変だ、ということ。上で紹介したのは、このワークショップについて触れた発言です。
車に乗れなくなると日々の暮らしが大変になるという課題は、そう簡単に解決できるわけではありません。ただし、地域の課題を自分たちのこととして認識しなければ、課題可決に向けたスタート地点にすら立てません。「絵空事じゃなくて、自分のこととして考えないといけない」という発言は、地域の課題を自分たちのこととして認識されていることの現れ。地域の課題を自分のこととして認識し、それを「居場所ハウス」で話題にされているのを聞き、ワークショップをしたことには意味があったのだと感じました。

地域の課題について議論するというと、会議室というあらたまった場所での会議を思い描く方もいるかもしれませんが(もちろん会議も重要ですが)、「居場所ハウス」のような場所で、居合わせた人とふと話題にするというのも大切だと思います。それができるのも、「居場所ハウス」という地域の人々が日常的に出入りしている場所があるからこそ。
薪ストーブの周りにいた1人の方は、「こういう話をするのがいいんだ。これが本来の「居場所(ハウス)」なんだ」と話されていました。

薪ストーブの周りにいた別の方からは、「自分ができることをするのが「居場所(ハウス)」なんだから。○○さんも、昨日来て、手伝ってくれた」という発言。
この会話がなされていた前日、昼食を食べに来た人が一度にやって来ました。そのため、スタッフは昼食の準備に大忙し。その様子を見ていた来訪者の○○さんは、立ち上がりキッチンで、みなが食べ終えた食器を洗うのを手伝ってくださいました。

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「自分たちがこれから歳をとっていった時にどうやって暮らしていくか?」など、地域にはたくさんの課題があります。これらの課題に向き合っていくためのヒントはこの光景に現れているのだと思います。
地域の課題を解決するためには、まずそれを自分のこととして認識すること、そして、誰かにお任せするのではなく自分にできる役割を担っていくこと。1つ1つは小さなことかもしれませんが、それを積み重ねていくしかないのだと思います。