『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

自分たちで空間に少しずつ手を加えていく

「居場所ハウス」がオープンしてもうすぐ3年を迎えます。
「居場所ハウス」ではオープン後に、運営メンバーで意見交換しながら少しずつ空間に手を加えてきました。例えば、土間と和室の間の柱を撤去したり、キッチン脇に勝手口を設置したり、本棚や収納棚を取り付けたり… いずれも使いやすい空間とするためのものです。

今年になってからも、いくつかの部分に手を加えてきました。
1つは和室奥に畳を敷いたこと。当初、この部分は月見台(縁側)との連続性が考えられ、月見台と同様の板の間になっていました。しかし、畳と板の間部分に段差があるとつまずいて危ない、板の間より畳の方が使いやすい(板の間は、冬場は冷たい)などの意見が出されたため、オープンして約半年が経った頃から畳マットを敷いてきました。最近まで畳マットを利用していましたが、長方形の畳マットをそのまま並べただけであったため周辺部や柱周りに隙間があったという状態。そこで今回、板の間部分にも畳を敷くこととしました。写真のように子どもたちが寝転がって遊ぶ光景が見られるのは、畳部分が広くなった効果だと思います。

160313-153430 160314-133006

もう1つは、和室に照明を追加したこと。「居場所ハウス」の建物は古民家を移築・再生したもので、屋根の高い広々とした空間になっています。主な開口部が北向きになっており、夏は風が通り抜け、空調なしで過ごせる心地よい空間となっています。その反面、開口部の少ない和室は暗かったので、もう少し明るかったらいいのにな… という意見が出されることもしばしば。しかし、蛍光灯を追加すると古民家の雰囲気を壊してしまう。そこで、照明が特に必要な和室の本棚前への照明の追加(2013年11月)、少しでも明るくなるよう電球の色を白色に変更(2015年2月)という対応をしてきましたが、これらに加えて、先月には土間と和室の間の蛍光灯を追加しました。もちろん、古民家の雰囲気を壊さないように、入口からは見えないよう梁の裏側に蛍光灯を設置するという工夫をしています。

160315-110400 160314-132749

現在、建物の外でも空間に手を加える作業を進めています。
「居場所ハウス」内にあるキッチンでは食堂の運営ができませんでした。そこで屋外にキッチンを建設し、2015年5月から食堂の運営をスタートしました。ただし、キッチンは屋外にあったため雨や雪の日は食事を運ぶのに一苦労。運営メンバーからはずっと、屋根が欲しいという意見がありました。しばらくは対応できませんでしたが、先月からキッチンと「居場所ハウス」の間に屋根をかけることとなりました。屋根の図面を書いたのは元々建築関係の仕事をしていたKさん。単に屋根を付けるのではなく、朝市で使う販売台やテント、テーブルなども収納できるスペースも考えてくださいました。現在、Kさんと、地域の大工さんにより建設工事が進められています。

160314-130635 160318-110753

「居場所ハウス」ではオープンまでに何度かワークショップが開催され、どういう空間にするかが話し合われました。そして、ワークショップで出された意見をふまえた設計がなされました。
けれども、運営が始まらないとどういう使い方をするのかわからない、どういう問題が出てくるかわからないというのも事実。また、屋外にキッチンを建設して食堂を運営したように、オープン時点では誰も想像していなかった活動を展開することもあります。オープンまでに全てを想定し切ることはできません。
だからこそ、オープンしてから実際に運営に関わるメンバーが意見を出し合い、少しずつ空間に手を加えることが重要なのだと思います。このことが持つ意味は、単に使いやすい空間が実現するというだけにとどまりません。自分たちが意見を出し合い、手を加えることの結果が、空間の変化として目に見える形で実現していくこと。これによって「居場所ハウス」は、自分たちがこうしたいという姿に近づいていると言えます。こういうプロセスを経ることにより、「居場所ハウス」という場所は、自分たちの場所になっていくのだと感じています。