『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

居場所ハウス:様々な活動を徐々に展開していく場所

最近、「居場所ハウス」では、NPO法人・おはなしころりんによる「やってみっぺし読み聞かせ」と、毎年恒例となったソバ打ち講習会を開催しました。
行事という限られた時間でしたが、子どもたちから高齢の方まで、女性だけでなく男性の方まで、様々な人にお越しいただくことができたと思います。


NPO法人・おはなしころりんによる「やってみっぺし読み聞かせ」(読み聞かせ講座とお茶会、子どもとの交流おはなし会)は2016年11月9日(水)に開催。
毎週水曜日の午前中、「居場所ハウス」では末崎地区サポートセンターによる居場所健康クラブが行われています。この日の読み聞かせは居場所健康クラブの時間を利用して開催。普段、居場所健康クラブには地域の高齢の方が10人ほど参加されていますが、この日は末崎保育園の年長の子どもたち、17人も来てくれました。

10時、「やってみっぺし読み聞かせ」がスタート。子どもたちは「おはなしころりん」のメンバーによる絵本の読み聞かせ、手遊びなどで楽しみました。途中、「居場所ハウス」、居場所健康クラブのメンバーでもあるKさん、Tさんも、それぞれ絵本の読み聞かせを行いました。
絵本の読み聞かせが終わった後、子どもたち和室から土間に降りて、居場所健康クラブのメンバーと「だいこんきって」の手遊び。最後に、子どもたちから大人へのプレゼント。

子どもたちが帰った後、居場所健康クラブのメンバーへの絵本、紙芝居の読み聞かせ講座。最後に頭の体操が行われました。
頭の体操は「日」という漢字に直線を1本追加して、8種類の漢字を作るというもの。「田」「由」「甲」などすぐ思いつく漢字もありますが、8種類全てを思い浮かべるのは難しかったようで、「カンニングをしたらわかった」などと冗談も言い合いながら、頭の体操を楽しみました。

1時間半という短い時間でしたが、小さな子どもから高齢の方までが共が楽しく、ゆったりとした時間を過ごすことができました。

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ソバ打ち講習会は2016年11月12日(土)に開催。講師は大船渡市日頃市町に住むYさん。Yさんは「居場所ハウス」がオープンした2013年から、毎年、講師を引き受けてくださっています。

Yさんは自分で栽培したキビで作った粉を持ってきてくださり、ソバ打ちを始める前にみなでキビの饅頭作りをしました。
饅頭作りが一段落し、ソバ打ちがスタート。今日はソバ7に対して、小麦粉3の割合で混ぜた粉を利用します(全てソバの十割ソバは初心者には難しいとのこと)。Yさんは粉に対して42〜50%の水を混ぜること、粉と水を混ぜる時、最初は掌を使わず、猫の手のように指だけで混ぜていくこと、玉ができてきたら掌を使ってこねていくこと、などの説明をしながら、まず見本を見せてくださいました。
そして参加者それぞれがソバ打ちをスタート。粉と水を混ぜるところから、麺状に切るところまでを体験しました。麺状に切るのはなかなか難しいようで、ソバじゃなくてうどんのようだ、ひっつみのようだ、などと話をしながら、ソバを切る人たち。
完成したソバは、早速ゆでて皆で試食をしました。

この日のソバ打ち講習会の参加者は夫婦で参加された方、市役所の派遣職員の方などを含めて約10人。生け花教室、歌声喫茶、物づくり教室(手芸教室)など「居場所ハウス」で開催している行事は女性が参加するものが多いのに対して、この日の講習会は男性の割合が多かったです。

「居場所ハウス」のメンバーの中には、参加費を払ったけど自分ではソバ打ちをせずに、洗い物をしたり、講師のYさんのお手伝いをしたりしていたという方も。このように裏方として協力してくださる方々によって、「居場所ハウス」の日々の運営は成り立っています。

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「居場所ハウス」は日々のカフェ、食堂の運営を基本としていますが、毎月の朝市を開催したり、農園での野菜作りをしたり、販売コーナーで手芸品などを販売したり。あるいは、今回のような様々な行事をしたりしています。
「居場所ハウス」は何をやっている場所なのか? というのはなかなかわかりづらいかもしれません。
あらかじめ決められた活動をするのでは、何をやっているかはわかりやすいかもしれませんが、対象者は限定されています。そうではなくて、「居場所ハウス」とは訪れた人々の要望や地域の状況に応じて、他の団体とも協力しながら、様々な活動を展開していく場所。だから、「居場所ハウス」の活動に完成形というものはありません。地域の人々によって、常に作られ続ける場所であることが、「居場所ハウス」の特徴であり、魅力だと考えています。