『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

ミッション・ドロレス・パーク:サンフランシスコ・ミッション地区の魅力的な公園

サンフランシスコにはたくさんの魅力的な公園・広場がありますが、ここで紹介するミッション・ドロレス・パーク(Mission Dolores Park)は、屋外の公園では最も心地よいと感じた場所です。

ミッション・ドロレス・パークがあるのはミッション地区(Mission District)。サンフランシスコのダウンタウンの南西に位置しており、元々はヒスパニックの人々が多数すむ地区で、壁画(ミューラル・アート/Mural Art)が多数点在する地区としても知られています。近年ではジェントリフィケーションが進み、様々なカフェやレストラン、店舗が開かれるなど多様な文化が混在しています。今、サンフランシスコで一番ホットな地区だと言われることもあるようです。

ミッション地区は道路が東西・南北に格子状に走っており、ミッション・ドロレス・パークは東西1ブロック分、南北2ブロック分を占める南北に細長い大きな公園です(東はDolores St、西はChurch St、北は18th St、南は20th st)。公園の西をMUNIメトロJラインが走っており*1)、公園の北西角に「18th St & Church St」駅、南西角に「Right of Way/20th St」駅があります。
MUNIメトロJラインに乗れば、サンフランシスコのダウンタウンからミッション・ドロレス・パークまで約15分と、中心部からも足を運びやすい位置にあります。

ミッション・ドロレス・パークの北半分にはテニスコート、大きな芝生の広場。

南半分には大きな芝生の広場、子どもの遊び場があります。公園は北東から南西に向かって斜面を登るようになっており、南西角の「Right of Way/20th St」駅付近はサンフランシスの中心部に建つ高層ビルを眺めることができます。

話をしたり、お弁当を食べたり、本や新聞を読んだり、ノートパソコンで作業をしたり、日光浴をしたりしている人。芝生でラグビーのホールを投げ合っている人。犬の散歩をしている人。芝生にテントを張っている人。観光客と思われる人もいます。いつ訪れても多くの人が過ごしています。
LGBTコミュニティのシンボルであるカストロ地区(Castro District)に近いこともあり、多様なカップルが過ごしている場所でもあります。

週末は特に人が多くなります。家族やグループで食事をしている人もおり、芝生の広場はほぼ人で埋まっています。お酒を飲んでいる人も。

これほど人が多いにも関わらず窮屈な感じはしません。上に書いた通り公園は斜面になっています。斜面になっていると自然と視界が開けた方向、つまり、高さの低い北東の方向に向かって座る人が多くなります。同じ方向に向かって座るため、隣り合っている人と視線が合うことはない。しかも、視界が開けた方向の先にはサンフランシスコのダウンタウンの高層ビルを眺めることができる。これが、ミッション・ドロレス・パークを心地よい場所にしている重要なポイントではないかと思いました。

ミッション・ドロレス・パークは、サンフランシスコの人々の暮らしに密着した場所。都市の中にこうした公園があることは、サンフランシスコでの暮らしの豊かさを表しているように思います。

なお、公園の北東角から交差点を反対側に渡ったところにはバイライト・クリーマリー(Bi-Rite Creamery)という人気のソフトクリーム屋があり、いつも行列ができています。


  • *1)MUNI:サンフランシスコの公共交通の1つで、San Francisco Municipal Railwayの略。MUNIにはメトロ(地下鉄+路面電車:路線番号がJ・K・T・L・M・N・Sのローマ字で表記されている7路線)とバス(路線番号が数字で表記されている)の2種類がある。Clipper Card(日本のSUICAのようなカード)、あるいは、スマートフォンのMuniMobileのアプリケーションを用いたMUNIの乗り方はこちらを参照。