サンフランシスコはITの最先端都市、テック都市というイメージがありますが、実際に訪問して印象的だったのは豊かな公園・広場のある都市であること。
大きな芝生の広場、都市を一望できる場所、都市の中のポケットパーク、様々な活動が行われる場所など様々な公園・広場があります。これらの公園・広場は、サンフランシスコの人々の暮らしを支える大切な場所であると同時に、観光に来た人が訪れる場所でもあります。サンフランシスコで訪れた魅力的な公園・広場をご紹介します。
目次
- アラモスクエア・パーク(Alamo Square Park)
- アルタ・プラザ・パーク(Alta Plaza Park)
- バーナル・ハイツ・パーク(Bernal Heights Park)
- ブエナ・ビスタ・パーク(Buena Vista Park)
- コロナ・ハイツ・パーク(Corona Heights Park)
- グランド・ビュー・パーク(Grand View Park)
- カイト・ヒル(Kite Hill)
- ミント・プラザ(Mint Plaza)
- ミッション・ドロレス・パーク(Mission Dolores Park)
- ポーツマス・スクエア(Portsmouth Square)
- セールスフォース・パーク(Salesforce Park)
- ユニオン・スクエア(Union Square)
アラモスクエア・パーク(Alamo Square Park)
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅)*1):Lライン「Sunset Tunnel East Portal」駅
- 面積:約51,400㎡(12.7エーカー)
ダウンタウンの西、アラモスクエアにある公園で、4ブロック分の大きさの長方形の公園。アラモスクエアの名前は、かつてここはスペイン語で「Alamo」を意味するハコヤナギの木の丘だったことに由来し、アラモスクエアは、1856年、市長のJames Van Nessによって作られた公園です*2)。
公園の南東部分の芝生の広場からは、ビクトリアンハウス(ビクトリア建築)と、その向こうのダウンタウンの高層ビルを眺めることができます。テレビドラマ「フルハウス」のロケ地としても有名な地区で、多くの観光客が訪れて写真を撮っていました。芝生に座ったり、ベンチに座ったりしている人も。芝生の斜面を登ったところには、トラックが停まっており、カフェが開かれていました。
公園の北東部分は低くなっており、子どもの遊び場が。公園の西にも芝生の広場がありますが、南東部分の芝生の広場と異なり、こちらの芝生の広場では犬を遊ばせる人の姿を見かけました。
アルタ・プラザ・パーク(Alta Plaza Park)
- 住所:Jackson St. & Steiner St., San Francisco, CA 94115
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):最寄りのMUNIメトロ駅はなし(MUNIバスを利用)
- 面積:約48,500㎡(12エーカー)
ダウンタウンの西、パシフィック・ハイツ(Pacific Heights)という高級住宅街にある公園。4ブロック分の大きさがある長方形の公園で、アラモスクエア・パークと同じような大きさになっています。
特に気持ちが良いのは南側・西側の芝生の斜面。公園は高台に位置するため、南側・西側の斜面からは遠くサンフランシスコの南側を眺望できる場所になっています。芝生に寝転んだり、座ったり、あるいは、所々置かれているベンチや階段に座ったりして過ごす人。本を読んだり、ノートパソコンを触ったり、日光浴したりと、1人で過ごしている人が多かったです。
公園の中央部分には子どもの遊び場、テニスコート。遊び場で遊ぶ子どもたちと、それを見守りながら話をする母親と思われる女性たち。公園の北側も芝生の斜面になっています。
バーナル・ハイツ・パーク(Bernal Heights Park)
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):Jライン「30th St & Dolores St」駅
- 面積:約105,000㎡(26エーカー)
ミッション地区(Mission District)の南側、バーナル・ハイツ地区(Bernal Heights)にある小高い丘。ダウンタウンからMUNIメトロ・Jラインで30分程。最寄駅からはしばらく坂道・階段を登る必要がありますが、頂上の丘からは素晴らしい景色を眺めることができます。
頂上には鉄塔があり、鉄塔の周りはフェンスで囲われているため入ることはできませんが、鉄塔の周りを巡れば360度を眺望することができます。ここから眺めると、ミッション地区(Mission District)などの通りが格子状になっている様子がよくわかります。
家族で、カップルで、グループで、1人で訪れている人など様々。観光客も見かけましたが、地元の人の方が多いような印象を受けました。景色を眺めたり、散歩したり、ジョギングしたりして過ごす人たち。シートを敷いて座っている人、テントを貼っている家族のグループも。頂上付近の木にはブランコがあり、記念撮影するため10人ほどが順番を待っていました。
バーナル・ハイツ・パークを南に下ったところにあるCortland Avenue沿いにはお洒落なカフェやお店が並んでいます。
ブエナ・ビスタ・パーク(Buena Vista Park)
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):Nライン「Carl St & Cole St」駅、「Sunset Tunnel East Portal」駅、または、K・T・L・M・Sライン「Castro」駅
- 面積:約150,000㎡(37エーカー)
コロナ・ハイツ・パークのすぐ北側にある丘。この土地は、1870年4月、カリフォルニア州議会により公園(Parkland)として認可されました。ゴールデンゲート・パークと同じ法律による認可であり、ブエナ・ビスタ・パーク、ゴールデンゲート・パークはサンフランシスコで最初の公園となります。1894年5月、ブエナ・ビスタ・パークは公式に公園としてオープンしています。この土地は以前は木のない丘でしたが、1880年代から散発的に植樹が行われました。その後、1910年頃から、John McLarenにより体系的な植樹が行われるようになりました。1970年代になると木々は大きく育ちましたが、植え直しが必要になりました。再植樹は、近隣住民組織(Buena Vista Neighborhood Association)の参加によって行われ、2003年までの20年間に3,200本が再植樹されたということです*3)。
ブエナ・ビスタ・パークは西側、東側の両方向からアクセスできますが、西側からは舗装された道が頂上まで続いています。植樹によって大きく育った木々の間を歩いて頂上へ。犬の散歩をしたり、ウォーキングしたりしている人もいます。
頂上付近は、まるで隠れ家のような円形の芝生の広場。訪れた時には話をしている人、読書している人、音楽を聴いている人を見かけました。生い茂った木々の間からは、ダウンタウンや、北の湾を見ることができます。
コロナ・ハイツ・パーク(Corona Heights Park)
- 住所:Roosevelt Way & Museum Way, San Francisco, CA 94114
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):K・T・L・M・Sライン「Castro」駅
- 面積:約60,700㎡(15エーカー)
ブエナ・ビスタ・パークのすぐ南側にある丘のある公園。ダウンタウンの西、カストロ(Castro)とコロナ・ハイツ(Corona Heights)にあります。MUNIメトロを使えば、ダウンタウンからは20~30分で到着。駅からは急な坂を登る必要がありますが、ダウンタウンからこれほど近くにありながら、絶好の眺望スポットとなっています。
ブエナ・ビスタ・パークには何ヶ所かの入口があります。西側から入ると広場があり、犬をリースから放して遊ばせることができます。南側にはRandall Museum、テニスコート。
頂上には大きな岩。頂上付近からは、ブエナ・ビスタ・パークのある北側を除いて、周囲を一望することができます。訪れた時も何組かの人が訪れていました。訪れている人は、観光客が多かったように思います。
グランド・ビュー・パーク(Grand View Park)
- 住所:1705 14th Ave, San Francisco, CA 94122
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):Nライン「Judah St & 15th Ave」駅、「Judah St & Funston Ave」駅
- 面積:約16,000㎡(3.98エーカー)
ダウンタウンの西側、太平洋に面したサンセット地区(Sunset District)にある公園。サンセット地区の整然とした街並みとその向こうに広がる太平洋、ゴールデンゲート・ブリッジなどを一望できます。詳細はこちら。
カイト・ヒル(Kite Hill)
- 住所:Yukon & 19th Street, San Francisco, CA 94114, USA
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):最寄りのMUNIメトロ駅はなし(MUNIバスを利用)
- 面積:約11,600㎡(2.87エーカー)
カストロ地区の南西部に位置する丘で、北東側から西側にかけて景色が開けた地形になっています。北側にはここで紹介しているブエナ・ビスタ・パーク、コロナ・ハイツ・パークが、さらにその東にはダウンタウンが一望できます。西側にはツイン・ピークスを、北西側には斜面に住宅が建ち並ぶ様子が一望できます。
芝生の上に座って休憩したり、本を読んだりしている人、犬の散歩をしている人、遊びに来た子どもなどを見かけました。この日は訪れている人はあまりおらず、静かで気持ちのよい場所になっていました。
ミント・プラザ(Mint Plaza)
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):J・K・T・L・M・N・Sラインの「Powell」駅
サンフランシスコのSoMa(South of Market)地区にあるポケットパーク。1874年建築の元造幣局の建物(The San Francisco Mint)の隣にある約90m(290フィート)の細長い空間で、Jessie StreetとMint Streetにつながる南の四角い広場には、自由に移動できる赤い椅子が置かれています。
お昼時間は広場の前にトラックが来て、カフェをオープン。広場に面して「54 Mint SF」というイタリアンのレストランがあり、レストランの前にもテーブルが出されています。
広場のすぐ南西には、ブルー・ボトル・コーヒー(Blue Bottle Coffee)というサンフランシスコ生まれのカフェがあり、いつ通りかかっても、通りに出されたテーブル席には人がいっぱいでした。
約90mの長さの細長い部分には、緑に覆われた屋根付きの通路。昼間は、日陰を求めて赤い椅子を移動させて座っている人がいます。
ミント・プラザが生まれたのは10年ほど前のことです。2007年4月、Jessie Streetの約90m(290フィート)の部分を道路から、サンフランシスコの最新のパブリック・オープンスペースに変更する法律が承認。コンセプトから資金調達、改修工事までわずか2年間でミント・プラザが誕生しました*4)。
ミント・プラザは小さな場所ですが、木々が作る木陰、自由に移動させることができる椅子、そして、カフェにより、休憩したり、食事をしたり、話をしたりできる都市の中の気持ちの良い場所になっています。ミント・プラザでは、音楽やアートのイベントが開催されることもあるということです。
ミッション・ドロレス・パーク(Mission Dolores Park)
- 住所:Dolores St & 19th St, San Francisco, CA 94114
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):Jラインの「18th St & Church St」駅、「Right of Way/20th St」駅
- 面積:約64,500㎡(15;94エーカー)
現在、サンフランシスコで一番ホットなエリアだと言われているミッション地区(Mission District)にある公園で、大きな芝生の広場のある気持ちの良い公園。ダウンタウンの高層ビルも一望できる公園。詳細はこちら。
ポーツマス・スクエア(Portsmouth Square)
- 住所:718-736 Clay St, San Francisco, CA 94111
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):J・K・T・L・M・N・Sラインの「Montgomery」駅
- 面積:約5,200㎡(1.3エーカー)
ポーツマス・スクエアは、19世紀初頭に開かれたサンフランシスコで最も古い公共の広場。サンフランシスコはまだ海岸沿いの小さな居住地でイエル・ブエナ(Yerba Buena)と呼ばれていた時代のことで、当初この広場も「Plaza」(Grand Plaza)と呼ばれていました*5)。現在はチャイナタウン内に位置し、ヒルトン・ホテルにすぐ西側にあります。
ポーツマス・スクエアはいくつかの段差によって分かれており、大きな空間ではありませんが、ここで紹介している公園・広場の中で、過ごしている人の密度という点では、ポーツマス・スクエアが一番。
過ごしている人のほとんどは中国系の高齢の人で、男性も女性も見かけました。特徴的なのは5~6人ほどのグループがあちこちにできていること。ほとんどがトランプをする人々と、それを周りから覗き込む人々の集まり。トランプをしているのは男性のみのグループが多かった気がしましたが、女性だけのグループ、男性と女性が混じったグループも見かけました。
この他、ベンチや段差になっているところに座って話をしたり、新聞や本を読んだり、タブレットやノートパソコンを触っている人のように1人、あるいは、少人数で過ごしている人もいました。また、将棋をしている人や、楽器を演奏したり歌を歌っている人もいました。
ポーツマス・スクエアは、ニューヨーク・マンハッタンのチャイナタウンにあるコロンバス・パーク(Columbus Park)、上海の公園、内モンゴル自治区の公園に比べると面積も狭く、活動の種類も限られていますが、それでも共通する雰囲気を持つ場所になっています。
セールスフォース・パーク(Salesforce Park)
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):J・K・T・L・M・N・Sラインの「Embarcadero」駅、「Montgomery」駅
- 面積(3階の屋上広場):22,000㎡(5.4エーカー)
ダウンタウンに2018年8月に新たに生まれた場所で、バスターミナルの屋上が広場として公開されています。詳細はこちら。
ユニオン・スクエア(Union Square)
- 住所:333 Post St, San Francisco, CA 94108
- 交通アクセス(最寄りのMUNIメトロ駅):J・K・T・L・M・N・Sラインの「Powell」駅
- 面積:約10,500㎡(2.6エーカー)
サンフランシスコのダウンタウン、ショッピング街、ホテル、劇場などのある場所にある広場。サンフランシスコで働く人、ショッピングに来た人、観光客など多くの人が行き交い、過ごす場所となっています。
広場の中央にはアメリカスペイン戦争(米西戦争)を勝利に導いたジョージ・デューイ提督を称えた、デューイ記念碑が建立されています。
記念碑の周りには移動できる金属製のテーブルと椅子。周辺部には固定式のベンチ。北側には舞台のような場所もあります。
1人で座っている人、2人で座っている人、Tシャツの人、スーツの人、男性、女性など過ごしている人の属性は多様。
様々なイベントも開かれており、広場の中央に絵が展示されているのを見かけました。
ユニオン・スクエアのすぐ北東には、2016年5月にオープンしたアップル・ストアの旗艦店、アップル・ユニオン・スクエア(Apple Union Square)があり、いつも多くの人が訪れています。
アップル・ユニオン・スクエアはフォスター・アンド・パートナーズの設計による2階建の建築。特徴的なのはユニオン・スクエアに面した南側は天井まで届く大きなガラスになっていること。天気の良い日にはガラスが開け放たれ、屋外と一体となった空間に。通りに出された白いプランターは丸みがあり、ソファとしても利用できるようデザインされているとのことです。ユニオン・スクエアと反対の北側にも広場があり、ここはPOPOS(Privately Owned Public Open Space/民有のパブリック・オープンスペース)の1つとなっています。
ここで紹介した公園・広場のほか、サンフランシスコにはPOPOS(=Privately Owned Publis Open Space)と呼ばれる「民有のパブリック・オープンスペース」もたくさんあります。詳細はこちら。
大きな芝生の広場、都市を一望できる場所、都市の中のポケットパーク、様々な活動が行われる場所。サンフランシスコには、ここで紹介した以外にも魅力的な公園・広場がたくさんあります。
特に印象に残っているのは、多くの公園・広場では、過ごしている人の属性が偏っていないこと。1人、あるいは、少人数のグループでもゆっくり過ごせる場所になっています。年齢の多様で、地元の人もいれば、観光客もいる。どんな人であっても気持ちよく過ごせる場所が、都市の中にたくさんある。
こうした豊かな公園・広場とともに暮らせることが、サンフランシスコという都市における暮らしの豊かさを垣間見せてくれるように感じました。
注
- *1)ここではMUNIメトロの最寄り駅を掲載しており、より公園に近いMUNIバスのバス停がある場合もある。MUNIはサンフランシスコの公共交通の1つで、San Francisco Municipal Railwayの略。MUNIにはメトロ(地下鉄+路面電車:路線番号がJ・K・T・L・M・N・Sのローマ字で表記されている7路線)とバス(路線番号が数字で表記されている)の2種類がある。Clipper Card(日本のSUICAのようなカード)、あるいは、スマートフォンのMuniMobileのアプリケーションを用いたMUNIの乗り方はこちらを参照。
- *2)Wikipedia「Alamo Square, San Francisco」のページより。
- *3)ブエナ・ビスタ・パーク内の掲示板より。
- *4)「Mint Plaza」ウェブサイトより。
- *5)Wikipedia「Portsmouth Square」のページより。
(更新:2019年4月30日)