香港の大埔ニュータウンの光景

香港では、1960年代後半から1970年代にかけて「ニュータウン」（new town）という言葉が正式に採用され、これまでに9つのニュータウンが開発されてきました。
ヨーロッパ文化センター・イタリア「Time Space Existence」における香港中文大学（CUHK）のグループによる展示「「ニュー」ニュー・タウン」を見た後、いくつかの香港のニュータウンを歩く機会がありました。少し歩いただけのため表面的な印象に過ぎませんが、香港のニュータウンで見た光景をご紹介したいと思います。

大埔ニュータウン

大埔（Tai Po）ニュータウンは、1976年から第2期のニュータウンとして開発されました。計画面積2,900ha、計画人口32万4千人と第1期のニュータウンに比べると小規模であるものの、計画面積1,160ha、初期の計画人口15万人の千里ニュータウンに比べると規模の大きなニュータウンです*1）。

大埔墟（Tai Po Market）駅は、MTRの東鉄線（East Rail Line）の北の終点近くの駅。香港中心部の金鐘（Admiralty）駅から30分ほどの位置にあります。大埔墟駅の南西は山で、北東の湾に向かって開けた地形になっています。

大埔墟駅の北西には、Tai Po Complexという大きな複合施設。下層部は生鮮食品を扱うマーケット（ウェット・マーケット）、上層部は庁舎や図書館が入居しています。

（Tai Po Complex）

Tai Po Complexの北側には、中層の住宅が建ち並ぶエリアがあります。1階部分は店舗になっていますが、駐車場が店舗の裏側にもうけられることで、店舗が並ぶ部分に車が入らないような配置計画がされています。訪れたのは平日のお昼過ぎでしたが、買い物をする人など非常に多くの人を見かけました。このような活気のある場所は、千里ニュータウンにはないような印象を受けました。

（Tai Po Complexの北側）

街の風景はPlover Cove Rdを境に大きく変わります。Plover Cove Rdの北側には20階ほどの高層の住棟が建ち並ぶのが目に入ってきます。そのまま北に歩くと林村河のほとりへ。林村河の北側には、「十字型」の平面を持つ20階を越える高層の住棟が規則正しく林立しています。さらにその奥にも高層の住棟が建ち並んでいます。
歩行者専用の大埔中心天橋（Tai Po Centre Bridge）を歩いて、林村河の北側へ。大埔中心天橋から西側を眺めると、MTRの太和（Tai Wo）駅の周りに建ち並ぶ「Y字型」の平面をもつ高層のスターハウスを見ることができます。

（林村河）

（林村河にかかる大埔中心天橋）

（大埔中心天橋から西側を望む）

大埔中心天橋の北側に林立する高層の住棟の足元は店舗が並んでいます。高層の住棟は高架のブリッジで連結されており、車にあうことなく移動できます。

（大埔中心天橋の北側）

大埔墟（Tai Po Market）駅のすぐ東側には、大埔河が流れています。大埔河に沿って遊歩道が整備。自転車専用のレーンももうけられています。買い物袋を持って歩いている人、車椅子を押してもらっている人、子どもと一緒に歩く人など、多くの人が遊歩道を歩いていました。遊歩道は車道の下を潜るという立体交差となっており、歩車分離がなされています。

大埔河の東には廣福邸（Kwong Fuk Estate）という高層の住棟が建ち並んでいます。廣福邸の住棟の中にも高層のスターハウスがあります。

（大浦河沿いの遊歩道）

（遊歩道と車道の立体交差）

（廣福邸の高層のスターハウス）

大埔河は北に流れて、先に紹介した林村河と合流。ここから、林村河となって東の湾に向かいます。
林村河と大埔河が合流する付近にかかる歩行者専用の橋をわたって、高層のスターハウスのある廣福邸（Kwong Fuk Estate）へ。廣福邸の中には店舗・飲食店が入居する建物（Kwong Fuk Commercial Centre）があり、建物の前は広場になっています。マクドナルドも見かけました。