こぼれび通りの再整備
千里ニュータウンの新千里東町には、千里中央地区と千里中央公園を東西に結ぶ「こぼれび通り」と名付けられた歩行者専用道路があります。
道路の中に植栽帯がもうけられている歩行者専用道路で、後に開発されたニュータウンでは、こぼれび通りを発展させたより幅の広い「緑道」がもうけられるようになりました。この意味で、こぼれび通りは、日本における緑道のモデルと言えます。
こぼれび通りは、2023年から整備事業が開始。2024年11月13日、先行して整備が進められてきた千里阪急ホテルの北東付近から、東丘こども園の南西付近までの区間が開通しました。


2024年12月18日、こぼれび通りのテニスコート沿いの植栽帯に、「ひがしまち街角広場」からの樹木寄付記念碑が設置されました。



ひがしまち街角広場 樹木寄付記念碑
寄贈:令和7年(2025年)5月ひがしまち街角広場運営委員会及びスタッフ一同
■こぼれび通り再整備への樹木寄付の趣旨
安らぎの道こぼれび通りの魅力向上のために■日本の緑道(りょくどう)の原点こぼれび通り
新千里東町は歩行者の安全・快適が尊重されたまちです。車が通る道路と自転車歩行者専用道路が分離され、この自転車歩行者専用道路の幹線は、小・中学校、公園、商店や地区会館のある近隣センターなどのまちの主要施設と千里中央を結んでいます。千里中央から千里東町公園の南側を通って千里中央公園に至るルートがこぼれび通りで、道路内に植栽空間を持つ遊歩道としてデザインされており、全国のニュータウンや計画的大規模住宅地に導入された「緑道」の原点になりました。
令和7年(2025年)5月には、UR都市機構の団地建替えにあわせた約2年間にわたる一部区間の再整備工事が完了しました。■「ひがしまち街角広場」と約30本の樹木寄付
平成13年(2001年)9月、(旧)新千里東町近隣センターの空き店舗を利用したボランティア運営のコミュニティカフェ「ひがしまち街角広場」が誕生しました。半年間の豊中市の支援を経て自主運営となり、誰もが利用できる「まちの居場所」として親しまれましたが、近隣センターの建替え(市街地再開発事業)に伴い、令和3年(2021年)5月に約20年間の活動を終えました。再開発事業の補償金は街角広場運営委員会(地域団体の代表等で構成)とスタッフの総意により、こぼれび通り再整備への約30本の樹木寄付にあて、安らぎを生み出す通りの景観・環境づくりに役立てました。*新千里東町は昭和41年(1966年)入居開始
*こぼれび通りは平成5年(1993年)市民公募で命名
ひがしまち街角広場
「ひがしまち街角広場」は、新千里東町の近隣センターの空き店舗を活用して運営されてきた、日本におけるコミュニティカフェのパイオニアの1つです。
「ニュータウンの中には、みんなが何となくふらっと集まって喋れる、ゆっくり過ごせる場所はありませんでした。そういう場所が欲しいなと思ってたんですけど、なかなかそういう場所を確保することができなかったんです。」
※初代代表の言葉
「ひがしまち街角広場」は、地域の人々のこのような切実な思いから、2001年9月30日にオープン。オープンのきっかけは豊中市の社会実験で、半年間の社会実験終了後は、住民ボランティアによる「自主運営」に移行。コーヒー、紅茶などの飲み物の100円の「お気持ち料」と、夕方以降のスペース貸し出しによる会場使用料を運営費として、補助金を受けることなく運営が継続されてきました。




「ひがしまち街角広場」は、地域の人々にとっての「何となくふらっと集まって喋れる、ゆっくり過ごせる場所」として運営され続けてきましたが、近隣センターの再開発により、2022年5月31日で運営を終了しました。
「ひがしまち街角広場」からこぼれび通りへの樹木寄付は、近隣センターからの退去に伴う補償金を地域に還元するために行われたものです。
「ひがしまち街角広場」の運営が終了したのは残念ですが、樹木、そして、樹木寄付記念碑というかたちで、これからも「こぼれび通り」と「ひがしまち街角広場」の歴史が継承されていきます。