『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

居場所ハウスの来訪者の「天候」による違い

160103天候による来訪者数の違い.001

雨や雪の日に外出するのは億劫なもの。でも、雨が降ったからと言って通勤・通学をしなくてよいわけではありません。その一方で、近所を散歩するのであれば、雨が降ったからやめることはあります。特定の目的が強くなれば強くなるほど、天候に関わらず出かけなくてはならない。
これを「居場所ハウス」にあてはめて考えると、特定の目的をもって行事・活動に参加する人の数は、天候によって左右されないが、何も行事が行われていない日に、ふらっと立ち寄る人の数は、天候にり左右されると考えることができそうです。
このことを調べるために、オープンから2015年12月末までの約2年半の来訪者数の曜日による違いを、①何らかの行事・活動が行われている日と、②何も行事・活動が行われていない日ごとに集計してみました。結果はグラフの通りです。

①何らかの行事・活動が行われている日は、「晴・曇」の日が約27人、「雨・雪」の日が約22.9人で、「晴・曇」の日の方が来訪者数は多くなっています。

②何も行事・活動が行われていない日は、「晴・曇」の日が約14.2人、「雨・雪」の日が約13.6人とほとんど違いが見られません。

上に書いた予想に反して、何らかの行事・活動が行われている日の来訪者は、天候がよい日の方が多いという結果となりました。逆に、何も行事・活動が行われていない日に立ち寄る来訪者数は天候には左右されないということです。
予想に反してこうした結果になったことに関しては、行事・活動の中にも朝市のように「ふらっと立ち寄る」タイプのもの、教室のように「参加する」タイプのものもあるため、行事・活動をいくつかのタイプに分類してみる必要があるかもしれません。その他に、大船渡市末崎町の人は自家用車で移動する人が多いため、そもそも天候によっては外出パターンが変わらない可能性があります。

なお、前回の投稿の結果とあわせれば、何も行事・活動が行われていない日の来訪者数は、曜日にも、天気にも左右されないことがわかりました。


  • 天候は運営日誌の天気欄に基づいており、天気欄に「雨」、「雪」、「台風」の文字が記載されている日を「雨・雪」に、それ以外の日を「晴・曇」に分類しています。運営日誌がつけられるようになった2013年6月20日(木)から2015年12月末までの間に「晴・曇」の日は601日あり、具体的には「晴」、「晴・曇」、「晴のち曇」、「晴時々曇」、「曇」、「曇・晴」、「曇のち晴」、「曇時々晴」、「半晴」と記載された日が含まれます。一方、「雨・雪」の日は158日あり、具体的には「雨」、「雨・曇」、「雨・曇のち晴」、「雨のち晴」、「雨のち曇」、「雨時々曇」、「小雨」、「小雨のち雪」、「小雨のち曇」、「晴・雨」、「晴・曇・雪」、「晴のち雨」、「晴一時雨」、「晴時々にわか雨」、「晴時々雨」、「晴時々雪」、「雪」、「雪・曇」、「雪のち雨」、「雪のち晴」、「雪のち曇」、「台風」、「大雨」、「大風・大雪」、「曇・雨.曇・小雨」、「曇・小雪」、「曇・雪」、「曇のち雨」、「曇時々雪」と記載された日が含まれます。
  • 行事・活動とは、朝市や、周年記念感謝祭、鯉のぼり祭り、納涼盆踊りなどの大きなイベント、生け花教室や囲碁、料理作りなどの各種教室、歌声喫茶などの集まり、運営のための定例会などの会議などが含まれます。
  • ここには記載していませんが、①何らかの行事・活動が行われている日は曜日によって来訪者数に違いがあること、②何も行事・活動が行われていない日は曜日による来訪者数の違いはないことは、統計的な検定によっても示すことができます。