『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

居場所ハウスの来訪者数と多世代の場所への可能性

「居場所ハウス」は2013年6月13日のオープンから間もなく4年となります。
2016年度が終わりましたので、これまでの来訪者数をカウントしましたのでご紹介いたします。

オープンから2017年3月末までの来訪者の合計は延べ24,738人。運営日数は1,156日であり、1日平均にすると約21.4人となります。グラフの通り月により増減はありますが、2015年5月に食堂の運営をスタートしてから来訪者が増加しているようにも見えます(この点についてはきちんとした分析が必要です)。

  • 2013年度(2013年6月13日〜2014年3月31日):約17.4人/日
  • 2014年度(2014年4月1日〜2015年3月31日):約19.0人/日
  • 2015年度(2015年4月1日〜2016年3月31日):約24.5人/日
  • 2016年度(2016年4月1日〜2017年3月31日):約23.9人/日

*来訪者数はスタッフ日誌とゲストブックよりカウント。ただし、毎月の朝市、周年記念感謝祭、納涼盆踊り、子どもの日・鯉のぼり祭りはおおよその人数でカウント
*来訪者数には当日の運営を担当するスタッフも含まれる


「居場所ハウス」のある末崎町では仮設住宅からの高台移転もほぼ終了。被災地から被災地「後」へと移ってゆく中で、「居場所ハウス」の役割も移行期にさしかかっています。
今後の役割の可能性の1つに、被災地支援から(高齢者を含む)多世代の住民の場所へということをあげることができると考えています。「居場所ハウス」は高齢者を中心とする住民により運営していますが、その場所にいかに多世代の人々を呼び込めるか。この春休み期間中、その萌芽となるいくつかの光景が見られました。

末崎中学校の先生方が食事に来訪(3月22日):この日、末崎中学校は離任式。校長先生を含め異動になる先生方がいらっしゃるようで、挨拶をかねて食事に立ち寄ってくださいました。日常的に「居場所ハウス」と末崎中学校とは直接の連携はしていませんが、末崎町には「居場所ハウス」があることを先生方にも認知していただけているように思います。

末崎町の高校生が企画した中国技能実習生との餃子づくり交流会(3月26日):末崎町内の水産関係の会社に中国から技能実習生として来ている方に、日本での生活を楽しんでもらえるようにと、町内の高校生が企画した交流会。「居場所ハウス」ではオープン以来多くの活動を行ってきましたが、高校生が企画した初めての行事です。なお、中国の技能実習生の方は、8月の納涼盆踊りにも参加すると話されており、今後も継続的な関わりを持ちたいと考えています。餃子づくり交流会の様子はこちらをご覧ください。

末崎中学校テニス部による食事会・謝恩会(3月28日):4月から高校に入学する3年生を含めた15人の部員と、顧問の2人の先生、そして、お世話係の保護者2人が参加した食事会・謝恩会。食事をした後、顧問の先生にお礼を言ったり、みなで記念撮影をしたりして過ごしていました。

末崎小・中学生を対象とする自習の場「学びの部屋」(4月3日から毎週月・火・金の19時〜21時):4月から始まる新たな活動です。主催は一般社団法人・子どものエンパワメントいわて。東日本大震災の後、子どもの勉強の場を確保するために継続されている自習の場で、最近では大田仮設で開催されていました。3月末で大田仮設が閉鎖になったため、4月からは「居場所ハウス」に場所を移して継続されることになりました。


重要だと考えるのは、これらはいずれも「居場所ハウス」が主催する行事では「ない」ということ。「居場所ハウス」から何かを仕掛けるのではなく、「居場所ハウス」が地域の人々の声に応える場所としての役割を担っていること。「何かあったら「居場所ハウス」へ」という意識が末崎町内に浸透しつつあるとすれば、これは4年間の運営を通して築いてきた大きな財産です。