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Ibashoプロジェクト:商品を販売するのではなく関係性を構築することの可能性

2017年7月27日(木)の午後、フィリピン・オルモック市のバゴング・ブハイ(Barangay Bagong Buhay)で石鹸作り、編み物作りの講習会が開かれました。バゴング・ブハイにおけるIbashoプロジェクトのメンバーは、以前からこの2つの活動に取り組むことを話し合っており、この日の講習会はメンバーで作り方を共有するために開かれたもの。

石鹸作りに必要な主な材料は苛性ソーダ、ココナッツオイル、水。これに香りや色をつけるためのものを混ぜて作ります。この日の講習会では人参を使うということで、14:00頃からメンバーが少しずつ集まってきて人参をすりおろす準備が始まりました。

14:50頃から石鹸作りがスタート。Ibashoプロジェクトのローカル・コーディネーターのIさんが、手順を説明。苛性ソーダ、ココナッツオイル、水を混ぜる際は一方向にかき混ぜるのがコツだとのこと。Iさんの説明をメモを取りながら聞く方も。若い女性は、スマートフォンで石鹸作りの様子を撮影されていました。

石鹸は30分ほどかきまぜ続ける必要があるということで、この間、編み物作理をすることに。メンバーの1人が編み物の見本、材料を持って来られていました。見本は大小、様々な色の毛糸で編んだ小物入れ。

16:00前、石鹸をかき混ぜが終了し、小さなカップにいれていきました。10日ほど乾燥させると、石鹸の完成です。

この日の講習会にはIbashoプロジェクトのコアメンバーの他に、ヘルス・センター(Health Center)のスタッフ、そして、若い女性も参加し、特に石鹸の作り方はメモを取ったり、スマートフォンで撮影したりしながら聞いておられました。
この光景を見ていて感じたことは、商品を売るのではなく経験を伝えることの価値。
Ibashoプロジェクトでは、石鹸作りは活動資金を得るための手段として位置づけられています。そのため、石鹸は市場価格よりも安い値段で売りたいとのこと。確かに市場価格より安くすれば石鹸は売れるかもしれませんが、安くすればするほど活動資金を得るという目的からは遠かってしまう。かといって、市場価格よりも高ければ販売個数が減ってしまう。
このジレンマを乗り越えるためには、商品を売るという発想から脱する必要があるのかもしれません。
例えば、Ibasho プロジェクトでこの日のように石鹸作りの講習会を開催。参加者には参加費を払ってもらい石鹸の作り方を学んでもらうと同時に、自分で作った石鹸も持ち帰ってもらう。そうすることによって、石鹸を作る知識を身につけると同時に、Ibashoプロジェクトのメンバーとの関係を築くという手があるかもしれません。

あるいは、商品ではなく、それがどのように生まれたかという物語をセットにするという考え方。ネパールのマタティルタ(Matatirtha)村で行われているIbashoプロジェクトではイヤリング作りが行われています。Ibashoプロジェクトのコーディネーターであるソーシャル・ベンチャー「Bihani」の方は、イヤリングをそのまま売っても意味がない。だから、誰が、どのように作ったのかという物語を付加する必要があると。これも、単にイヤリングという商品を購入することを越えて、その作り手との関係を生み出そうとすることだと言えます。

他にも可能性はあると思いますが、商品を販売するのではなく関係性を構築するという視点をもつことで、市場にいかに巻き込まれないようにするか。地域における活動においては、この視点が必要になってくるのではないかと思います。