サンフランシスコ発祥のサードウェーブ・コーヒーが広がりつつあります。サードウェーブとは、文字通りファーストウェーブ、セカンドウェーブに次ぐ第三の波という意味。
コーヒーユニットの茶太郎豆央による『サードウェーブ!:サンフランシスコ周辺で体験した最新コーヒーカルチャー』(Amazon Services International, Inc 2013)では、ファーストウェーブ、セカンドウェーブ、サードウェーブの一般的な分類として次のように紹介されています。コーヒーカルチャーの分類は「コーヒーの味や楽しみ方だけでなく、コーヒービジネスのモデルや生産地との関係なども深く関わってくる」ということです。
「ファーストウェーブ(19世紀後半から1960年代)
コーヒーが大衆の食卓で楽しまれるようになったのはファーストウェーブの功績と言えるでしょう。流通の発達により、大量のコーヒーが食卓に届くようになり、価格も安くなったことで、一般的な飲み物になりました。・・・・・・。特に「ネスカフェ」などのコーヒーブランドが、家で、職場でコーヒーを飲むことを身近にしました。」(茶太郎豆央, 2013)
「セカンドウェーブ(1960年代~2000年ごろ)
ファーストウェーブのコーヒーが流通の革命であるならば、ローストとスタイルのブランドへと転換させたのがセカンドウェーブ。シアトルで創業したスターバックスはセカンドウェーブの中で最も成功したブランドになり、米国が世界に送り出した最も知られているブランドの1つになりました。・・・・・・。また世界中に均質で良質なコーヒーの「味」を届け、コーヒーの味を万国共通の価値観へと昇華させたのも、このセカンドウェーブの貢献と言えます。」(茶太郎豆央, 2013)
「サードウェーブ(2000年以降)
ファースト、セカンドと、いずれも大量流通と大量焙煎を前提としたビジネスモデルを確立することで、コーヒーを日常のものとし、大量消費の市場を作りました。しかしその裏で、生産地への配慮や価格、そして消費国における税務等の社会的責任といった問題が指摘されるようになります。・・・・・・。こうして新しいビジネスとカルチャー一体でデザインされたのがサードウェーブです。少量流通も可能にするカップまでのトレーサビリティ、生産地との持続可能な関係作り、味の価値観の流通、ローカルでの焙煎、新しいロースター・カフェの空間の提案といった新しいスタイルが次々と確立されました。」(茶太郎豆央, 2013)
家や職場でコーヒーを気軽に飲めるようにしたファーストウェーブ、「均質な「おいしいコーヒー」と「コーヒーを楽しむ特別な場所」の価値観を作り上げることに成功」(茶太郎豆央, 2013)したセカンドウェーブ。しかしこれらは「大量流通と大量焙煎を前提としたビジネスモデル」を前提としていた。サードウェーブはこれらと一線を画すものであり、その特徴は次のようにも紹介されています。
「小規模な焙煎所が、生産者と直接、あるいはフェアトレードでオーガニックの豆を仕入れ、大切に焙煎し、新鮮なうちに地元の人たちにコーヒー豆やドリンクとして提供する。大量消費、大量流通とは一線を画した、持続可能でアース・フレンドリーなコーヒーこそ、サードウェーブの特徴です。」(茶太郎豆央, 2013)
見落としてはならないのは、茶太郎豆央が、セカンドウェーブの代表であるスターバックス(Starbucks)のオルタナティブとしての「Starbucked」に触れて、「Starbucked批判のきっかけは、フェアトレードであり、味のキャッチアップは本質的な問題解決〔で〕ありません」(茶太郎豆央, 2013)と指摘していることです。
目次
コーヒーカルチャーにおけるサードプレイス
セカンドウェーブの代表であるスターバックスは、レイ・オールデンバーグ(Ray Oldenburg)が『サードプレイス:コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』(みすず書房 2013年)の中で描いている「サードプレイス」をコンセプトとして採用して採用しています。
サードプレイスは、第一の場所である家、第二の場所である職場に続く第三の場所の意味で、茶太郎豆央はスターバックスの店舗を次のように紹介しています。
「家を出て職場に向かう途中の朝の時間、仕事から一息つく場所、仕事から家に帰る前に立ち寄って読書をしたり、勉強したりする場所。このような位置づけで、都市の中にサードプレイスとしてのスターバックスが自然に溶け込むようになりました。
そのために家と職場にある日常不可欠な要素ートイレなどのインフラと、非日常の要素-木目調のゆったりしたソファーや家具、選び抜かれた道具、ハイセンスなインテリアの両方の要素をかね揃えた場所を作る必要があったのです。」(茶太郎豆央, 2013)
そして、セカンドウェーブのスターバックスが広めた「サードプレイス」の概念は、サードウェーブにも受け継がれているとし、サードウェーブの風景を次のように描いています。
「非常にギーク・フレンドリーなロースター・カフェを要素還元すると次のようなものが挙げられます。
(1)無料のWi-Fi
(2)木目調のインテリア
(3)焙煎機
(4)飲み口が大きめのマグカップ
(5)メイソン・ジャー
(6)ポア・オーバーとエスプレッソ・バー
(7)iPadレジ
無料Wi-Fiはサードウェーブ系カフェ・ロースターに限らず、ベイエリアでは基本中の基本のスペックで、このインフラがあるからこそにギーク達の集いの場所になっているのは言うまでもありません。そうしたカフェの中でサードウェーブ系の特徴を考えてみると、内装が木目調であることと、焙煎機が置かれていることが挙げられます。」(茶太郎豆央, 2013)
サードウェーブのカフェ
サードウェーブはサンフランシスコが発祥です。以前、サンフランシスコを訪問した際、次の4つのカフェを訪問しました。これらは、「4大サードウェーブ・コーヒー」と紹介されることもあるように、サードウェーブ・コーヒーの代表的なカフェです。
- ブルー・ボトル・コーヒー(Blue Bottle Coffee)
- サイトグラス・コーヒー(Sightglass Coffee)
- リチュアル・コーヒー(Ritual Coffee)
- フォー・バレル・コーヒー(Four Barrel Coffee)
ブルー・ボトル・コーヒー(Blue Bottle Coffee)
ブルー・ボトル・コーヒーは2002年創業。ウェブサイトには、その始まりが次のように紹介されています。
「2000年代前半、カリフォルニア州オークランド市で、フリーランスの音楽家でありコーヒーマニアでもあったジェームス・フリーマンは新鮮味が無くロースト具合が深すぎる一般的なコーヒーセレクションにうんざりし、新鮮で本来のコーヒーの味を求めている人々の為に自らコーヒー焙煎を始める決心をしました。小さな6ポンド(約2.7キロ)用の焙煎機を使い、彼は「焙煎したてのフレッシュなコーヒー豆だけをお客様に販売し、フレーバーが最も美味しいピーク期間に飲んでいただきたい。豆も最高品質で、最も美味しく責任をもって調達したものだけを提供する。」という歴史的な誓約を立てたのです。
ジェームスはコルシツキーの栄誉に敬意を払い自分の店を「ブルーボトルコーヒー」と名付け、この先続くコーヒーのダイナミックな歴史に新たな一章を刻みました。」
*ブルー・ボトル・コーヒー「Our Story」のページ
ブルー・ボトル・コーヒー一号店は、サンフランシスコ市と湾を挟んで向かいにあるオークランド市に立地し、サンフランシスコ市内にもいくつかの店舗があります。白地に青いボトルが描かれたロゴは遠くからでもよく目立ちます。
オークランド市にある一号店を訪れることはできませんでしたが、サンフランシスコ市内のいくつかの店舗を訪れたり、前を通りかかったりする機会がありました。カフェは、木製の家具が置かれたすっきりした空間になっている印象を受けました。
ブルー・ボトル・コーヒーは、2015年2月にはアメリカ国外初の店舗として東京に進出しており、現時点(2019年11月時点)で東京に11店舗、京都と神戸に1店舗ずつ、合わせて13店舗が営業しています。
なお、2017年9月、ブルー・ボトル・コーヒーはスイスの食品・飲料会社であるネスレに株式を買収され、そのグループ企業となっています。ファーストウェーブの代表であるネスカフェを販売するネスレが、サードウェーブの代表であるブルー・ボトル・コーヒーを買収するという動きが生じていることになります。
サイトグラス・コーヒー(Sightglass Coffee)
サイトグラス・コーヒーの創業は2009年で、ウェブサイトには目的が次のように書かれています。
「コーヒーは季節の果物であり、収穫したばかりのロットの原産地から直接調達しています。私たちはプロセスを精査し、完全なものにすることができる小さな生産方法を実践しています。完璧なローストの実現とは、直観、香り、音、色のわずかな変化という、全てのカップにも伝わる細部に細心の注意を払うことです。
会社の名前は、コーヒーの焙煎における複雑で繊細なプロセスを見るための、私たちが用いているビンテージのPROBATのコーヒーロースターに取り付けられている覗き窓である「サイトグラス」に由来しています。私たちは、コーヒーの背後にある物語、つまり、コーヒーはどこで育つのか、コーヒーをいれるまでにどのような処理が行われるのか、それは誰が担うのかを知ることは、1杯のコーヒーから世界への力強い繋がりだと信じています。
私たちは最終的に、達成可能な最も美しくて不思議なコーヒーを調達することであれ、可能な限り最もマインドフルで品質重視のプラクティスを採用することであれ、ビジネスのあらゆる側面において達成可能な最高品質を提供することを目指しています。」
*Sightglass Coffee「Our Company」のページの記載を翻訳したもの
サイトグラス・コーヒーの一号店は、サンフランシスコのSoMA地区に立地(住所:270 7th St, San Francisco, CA 94103)。BART、MUNIメトロの「Civic Center」駅から徒歩で南に10分弱歩いた位置にあります。
通りに面した部分は大きなガラス張りになってます。内部は吹き抜けの空間になっており、入口の右手にロースター、左手に注文するカウンター。2階にもあがることができます。
訪れたのは平日の14時頃でしたが店内はほぼ満席。1人でノートパソコンで作業をしている人、2人で話をしている人が多く、特に2階に座っている人はほとんどがノートパソコンで作業をしていました。
リチュアル・コーヒー(Ritual Coffee)
リチュアル・コーヒーの創業は2005年で、ウェブサイトには次のように紹介されています。
「40年前、コーヒーはカフェインを摂る飲物にすぎませんでした。味はどうであれ、朝目を覚ませ、長い午後の支えになればよかったのです。しかし、ここ10年で状況は大きく変わりました。全国に散らばる少数の人々が、知り合いの農家から直接豆を購入する時に、コーヒー本来の成分が取り除かれないように自分自身で焙煎する時に、秒単位の精度でコーヒーをれる時に、コーヒーがどれほど素晴らしいものになるかを発見したのです。
リチュアルは、2005年にヴァレンシア通り(Valencia Street)にオープンし、サンフランシスコでコーヒー革命と呼ばれるものを始めて以来、コーヒーに対する意識の美味しさへの変化を導くパイオニアになってきました。当時の目標、そして、現在の目標は、いつどこでも最高の1枚のコーヒーをいれることです。私たちは長年をかけて多くのことを学びましたが、コーヒー・バーやカップに出される前に、全てのコーヒーを何度も試飲するなど、プロセスへの配慮は変わっていません。
私たちはコーヒーを複雑なものにするためではなく、ここで働く全ての人が美味しいコーヒーにより生活を変えられた瞬間を持つからこそ、このようにしているのです。」
*のウェブサイトの記載を翻訳したもの
ここで紹介されている通り、リチュアル・コーヒーの一号店は、ミッション地区(Mission District)のヴァレンシア通り(Valencia Street)にあります(住所:1026 Valencia St, San Francisco, CA 94110)。赤を基調とするロゴはよく目立ちます。
何度か前を通りかかりましたが、いつ通りかかっても店内は多くの人。また、表にはパークレットが設置されており、ここでも話をしたり、ノートパソコンで作業をしたりしている人を見かけます。
フォー・バレル・コーヒー(Four Barrel Coffee)
フォー・バレル・コーヒーは2008年に創業。茶太郎豆央では、「独特のスタイルを貫き通してる」カフェとして、次のように紹介されています。
「独特のスタイルを貫き通してるのがサンフランシスコはミッション・ストリートに位置するFour Barrel(フォー・バレル)。サードウェーブ・コーヒーロースターの中でも酸味や苦味のしっかりとした、玄人好みな味を提供しています。
創業者のJeremey Tooker(ジェレミー・トゥーカー)はRitual Coffee(リチュアル・コーヒー)の立ち上げに関わった後、独自のロースターを起業しました。店内を入るとエイジングされた木材に黒い鉄のインテリア。・・・・・・。そして面白いことに、 フォー・バレルではWi-Fiをおかないというカフェビジネスにおけるアナーキースタイルを提案し、味と共に他のカフェにはない異彩を放っています。」「店内を「Tech-less Sanctuary」(テクノロジー無き聖域)を標榜し、 孤高であることを大事にしているところも男っぽい世界観そのもの。焙煎も手間と暇をかけてじっくり行うのは「手にまめを作るまでの手仕事の価値を信じている」とジェレミー・トゥーカー。」(茶太郎豆央, 2013)
フォー・バレル・コーヒーの一号店も、リチュアル・コーヒーの一号店と同様、ミッション地区(Mission District)のヴァレンシア通り(Valencia Street)にあります(住所:375 Valencia St, San Francisco, CA 94103)。いつ通りかかっても店内には多くの人がおり、上で紹介した通り店内でWiFiは提供されていませんが、ノートパソコンで作業をしている人も見かけます。
表にはパークレットが設置されており、ここに過ごしている人も見かけます。
2015年9月には、フォー・バレルと提携した「SUNNY’S COFFEE feat.FourBarrel」が栃木県大田原市に開かれています。
4大サードウェーブ・コーヒーはそれぞれ複数の店舗を営業しているのに加えて、コーヒー豆の販売も行っています。サンフランシスコ市内のホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)などいくつかのスーパーマーケットでは、サイトグラス・コーヒー、リチュアル・コーヒーの豆が販売されているのを見かけました。
サードウェーブとサードプレイス
先に紹介した通り、「サードプレイス」はコーヒーカルチャーの文脈において重要な概念です。レイ・オルデンバーグによれば「サードプレイスというのは、家庭と仕事の領域を超えた個々人の、定期的で自発的でインフォーマルな、お楽しみの集いのために場を提供する、さまざまな公共の場所の総称」(オールデンバーグ, 2013)と定義され、そこは「コミュニティ構築機能」を担うとしています。
セカンドウェーブのスターバックスは確かに第一の場所である家、第二の場所である職場に次ぐ第三の場所ですが、「コミュニティ構築機能」を担っているかどうかは疑問があります。スターバックスは、良質なコーヒーをファッションとして消費する場所になっているのではないか、人々は互いに無関係に過ごすだけの場所ではないかという疑問があります。
それでは、サードウェーブにおいて「サードプレイス」の位置づけはどのように変わるのか。
「セカンドウェーブのスターバックスが広めたサードプレイスの概念は、サードウェーブ・コーヒーのお店でも受け継がれました。その上で提供する食べ物や飲み物のクオリティにこだわり、さらに取引する農場や業者への配慮をフレンドリーにしたのが、サードウェーブのお店のスタイルと言えるでしょう」(茶太郎豆央, 2013)と指摘されているように、写真だけでは、ノートパソコンで作業をしたり、話をしたり、あるいは、紙コップをテイクアウトしたりと、サードウェーブも、セカンドウェーブのスターバックスと大きな違いが見られないかもしれません。
しかし、実際にサードウェーブを訪れ、次の2つのことを感じました。
1点は、ノートパソコンで作業をしたり、打合せをしたりと、仕事をしている人が多いこと。元々、「サードプレイス」は第一の場所である家、第二の場所である職場に続く場所という意味ですが、サードプレイスが仕事場になっているということは、サードウェーブにおいては第二の場所と第三の場所の境界が揺らいでいると捉えることができそうです。
もう1点は、サードウェーブのカフェにおいて、注文したコーヒーは目の前で一杯ずついれてもらうことができます。これは、通常のドリップ(Drip)と区別して、インディペンデント・ドリップ(Independent Drip)、あるいは、ポア・オーバー(Pour Over)と呼ばれます(茶太郎豆央, 2013)。そのため、あらかじめ作り置きされたコーヒーが出されるのに比べて、注文してからコーヒーを受け取るまでに若干の時間を要します。つまり、サードウェーブにおいては時間の使い方が変わるということです。
茶太郎豆央は、サードウェーブとの関わりを通して、「ていねいな暮らし」を発見したと書いています。
「二つ目〔の発見〕は、日々の生活の中で「コーヒーを淹れる時間」を、自分や家族、友人のための時間として再発見することです。効率化とは真逆の、コーヒーにまつわる時間、コーヒーを囲んだ時間が「ていねいな暮らし」に変わっていく発見は、暮らしを非常に豊かに彩るものであり、たくさんの人に体験して欲しい、と考えました。
サードウェーブ・コーヒーカルチャーの体験を通じて出会ってきた人たち、ロースターやそこで働く人々、コーヒーが好きな人々みんなが、オープンで、フレンドリーで、シェアを大切にしていました。」「ていねいな暮らしは地球との対話の入り口です。サードウェーブのコーヒー豆をていねいに淹れる行為は、サードウェーブ・コーヒーカルチャーが標榜する、新しいアース・フレンドリーなこだわりの終着点であり、我々のていねいな暮らしも、そのこだわりの1つのピースになっているのです。」(茶太郎豆央, 2013)
興味深いのは、サードウェーブが教えてくれた「ていねいな暮らし」とは、「家の中でのサードウェーブ体験」にもつながるとされていることです。
「セカンドウェーブと同じように、快適な空間を提供するサードウェーブですが、店舗では語れない、今までと大きく違うコーヒー体験の場を作り出そうとしています。それは、ファーストプレイスたる我々の家。もともとファーストウェーブでコーヒーが安価で大量に流通することによって、家庭がコーヒー消費の場所として定着しました。サードウェーブでは再び、家をコーヒー体験の基本に据える重要な変化を見ることができるのです。」
「ていねいに作られたコーヒー豆を家に持って帰ってきて、飲む人がていねいに淹れる。豆によっておいしいコーヒーのドリップの仕方が違うことを発見したり、自分の好みの豆の量やお湯の温度を見つけたり、豆と対話しながらコーヒーを淹れる行為そのものからして、家の中でのサードウェーブ体験と位置づけることができるのです。」(茶太郎豆央, 2013)
サードウェーブは、第一の場所である家を変えていくものであること。ここでは、第一の場所、第三の場所との境界に揺らぎが見られます。
先に紹介したように、ブルー・ボトル・コーヒーの進出、フォー・バレルと提携したカフェのオープンなど、日本でもサードウェーブが広がりつつあり、この傾向は今後も進んでいくと思われます。けれども、サードウェーブを美味しいコーヒーが飲めるカフェ、お洒落なカフェと矮小化してはならない。それは「大量消費、大量流通とは一線を画した、持続可能でアース・フレンドリーなコーヒー」(茶太郎豆央, 2013)であり、そこでは効率化とは真逆の「ていねいな暮らし」が大切にされていること。これがサードウェーブが持つ可能性です。
そして、そこでは第一の場所である家、第二の場所である職場、第三の場所である「サードプレイス」という場所の関係のあり方自体が再定義されていくことになるのかも知れません。
参考文献