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アメリカ・メリーランド州の新型コロナウイルス感染症の検査体制(2020年12月)

※メリーランド州の新型コロナウイルス感染症への対応はこちら、検査体制の状況はこちらで紹介しています


メリーランド州の2019年時点の人口は約600万人。アメリカ東海岸のメリーランド州(人口約600万人)では2020年3月5日に初めての新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が見つかりました。その後、1日の感染者数は4~5月にかけて1,800人に近かった日もありますが、6月末になると300~500人の間を推移するまでに減少しました。7月下旬にやや増加し1,000人を超える日もありましたが、その後はまた減少しました。ところが、11月になると急増し、11月下旬には3,000人近い日も見られるようになっています。一方、1日の死亡者数は4月は多かったものの、その後減少していました。ところが、11月下旬には40人近い日が見られるようになっています。

3月30日に発令された外出禁止令(自宅待機命令:Stay-at-Home Order)は、約1ヶ月半が経過した5月15日に解除され、自宅待機に関する勧告(Safer-at-Home Public Health Advisory)に移行。復興プラン『メリーランド・ストロング:復興のためのロードマップ』(Maryland Strong: Roadmap to Recovery)に示されたステージ1が開始されました。そして、6月5日からステージ2が、9月4日からステージ3が開始されました。しかし、11月になって再び感染が拡大してきたことを受けて、新たな措置が発表されています*1)。

こうした動きと同時に、検査体制も徐々に拡充されてきました。新型コロナウイルス感染症の拡大の仕方が異なるため単純な比較はできませんが、メリーランド州の検査体制は、今でも検査を受けるのが難しい日本とは大きく異なっています。


*1)メリーランド州における新型コロナウイルス感染症への対応はこちらを参照。

検査体制の拡充

メリーランド州では3月17日という早い段階で、州内の全ての車両排気ガス検査場(VEIP=Vehicle Emissions Inspection Program)を活用して、ドライブスルー方式の検査場を設置することが発表されています。
当初、検査のためには医師の検査指示書(order)と予約が必要とされていましたが、5月22日からは複数の検査場で医師の検査指示書や予約なしでの検査が可能となり、これにより新型コロナウイルス感染症に暴露した可能性がある人でも検査を受けることができるようになっています。
5月22日からは薬局・コンビニエンスストアのチェーンであるCVSでも医師の検査指示書が不要のドライブスルー検査を受けることができるようになっています。

1日の検査数は増加しており、11月末には1日に5万件を超える日も見られるようになりました。メリーランド州の人口約600万人に対して、11月末時点の延べ検査数は約440万件となっており、日本に比べると人口あたりの検査数の多さがお分かりいただけると思います。

陽性率は外出禁止令(自宅待機命令:Stay-at-Home Order)が発令されていた期間は大きかったものの、その後は2~3%ほどを推移しています。しかし、11月に入ると陽性率は上昇しており、先に述べた通り、新たな措置が発表されることとなりました。

検査体制の拡充の流れ

  • 州内全ての車両排気ガス検査場(VEIP)を閉鎖し、ドライブスルー方式の検査センターの設置を発表(3月17日)。
  • オーウィングス・ミルズ (Owings Mills)、プリンス・フレデリック (Prince Frederick)の車両排気ガス検査場(VEIP)に、新たなドライブスルー検査場を開設することを発表。これにより州内の同種の検査場は7か所となる(4月27日)。
  • 州西部ヘイガーズタウン(Hagerstown)の車両排気ガス検査場(VEIP)に新しいドライブスルー検査場を開設することを発表(5月4日)。
  • ウェストミンスターのキャロル郡農業センター(Carroll County Agriculture Center)にドライブスルー検査場を新設することを発表。これにより州内の同種の検査場は9か所になる(5月13日)。
  • プリンスジョージズ郡クリントン(Clinton)とハイアッツビル(Hyattsville)の車両排気ガス検査場(VEIP)に、新たな検査場を開設することを発表(5月19日)。
  • 今後、新型コロナウイルスに暴露した可能性があるが、症状が出ておらず、医師からの検査指示書がない人でも、州内の4カ所の検査場で予約無しのドライブスルー検査を受けることが可能になることが発表される(5月22日~)。検査料は保険でカバーされる(5月19日)。
  • CVS17店舗(ドライブスルー窓口)で、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が定める要件及び年齢に関するガイドラインを満たす人を対象に、ドライブスルー検査の受付が開始。検査希望者は事前にCVSのウェブサイトで予約が必要。医師からの検査指示書は不要(5月22日)。
  • プリンスジョージズ郡アッパー・マルボロ(Upper Malboro)にあるテーマパーク「シックス・フラッグス・アメリカ(Six Flags America)」に事前予約や医師の診断なしで受検できる新たなドライブスルー検査場を設置することを発表。既に発表されているプリンスジョージズ郡クリントン車両排気ガス検査場のドライブスルー検査場も5月28日から稼働予定であり、州内のドライブスルー検査場はこれで11カ所になる(5月27日)。
  • ドライブスルー検査を行う州内のCVSが30店舗に拡大(5月28日)。

※在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。ただし、表現を改めている部分がある。

メリーランド州の検査場

メリーランド州の「新型コロナウイルス感染症の検査」(COVID-19 Testing in Maryland)のページには、主要な検査場の一覧が掲載されています。

一覧には全ての検査場が掲載されているわけではないと但し書きが付けられていますが、現時点(2020年12月1日更新の情報)で239ヶ所の検査場が掲載されています。このうち、薬局・コンビニエンスストアのチェーンであるCVSが62ヶ所となっています。239ヶ所の検査場の種類は、州5ヶ所、地方保健局(Local Health Department)26ヶ所、プライベート192ヶ所となっています。
初期の段階から州によって車両排気ガス検査場(VEIP)を活用したドライブスルー検査場が開かれてきましたが、現時点では車両排気ガス検査場(VEIP)は全て閉鎖されています。

公開されている検査場の情報を整理すると、予約は必要だが、医師の指示書は不要の検査場が130ヶ所と最も多く、CVSがここに含まれます。
予約も医師の指示書も不要の検査場は85ヶ所と次に多く、プリンスジョージズ郡アッパー・マルボロ(Upper Malboro)にあるテーマパーク「シックス・フラッグス・アメリカ」(Six Flags America)のドライブスルー検査場がここに含まれます。