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アメリカ・メリーランド州の新型コロナウイルス感染症の検査体制(2020年6月)

※メリーランド州の新型コロナウイルス感染症への対応はこちら、検査体制の状況はこちらで紹介しています


メリーランド州はアメリカ東海岸に位置する人口約580万人(2010年国勢調査の人口)の州です。
1日に確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数は、2020年5月19日に最多の1,784人を記録しましたが、その後は減少し、約500~1,300人の間を推移しています。

これに伴い、感染対策も少しずつ緩められてきました。
3月30日に発令された外出禁止令(自宅待機命令:Stay-at-Home Order)は、約1ヶ月半が経過した5月15日の17時に解除され、自宅待機に関する勧告(Safer-at-Home Public Health Advisory)に移行。復興プラン『メリーランド・ストロング:復興のためのロードマップ』(Maryland Strong: Roadmap to Recovery)に示されたステージ1が開始されました。そして、6月5日の17時からステージ2が開始されました。

このように社会を再開する動きが少しずつ再開されていますが、同時に検査体制が拡充されていることは見落としてはならないポイントです。

ここではメリーランド州における検査の状況をご紹介したいと思います。
アメリカと、感染者も死亡者数も少ない日本とでは状況が異なるため単純に比較はできませんが、メリーランド州の約580万人という人口は、日本でいうと千葉県や兵庫県に近い人口となります。

検査体制の拡充の流れ

メリーランド州では3月17日という早い段階で、州内の全ての車両排気ガス検査場(VEIP=Vehicle Emissions Inspection Program)を活用して、ドライブスルー方式の検査場を設置することが発表されています。
当初、検査のためには医師の検査指示書(order)と予約が必要とされていましたが、5月22日からは複数の検査場で医師の検査指示書や予約なしでの検査が可能となり、これにより新型コロナウイルス感染症に暴露した可能性がある人でも検査を受けることができるようになっています。
また、5月22日からは薬局・コンビニエンスストアのチェーンであるCVSでも医師の検査指示書が不要のドライブスルー検査を受けることができるようになっています。

  • 州内全ての車両排気ガス検査場(VEIP)を閉鎖し、ドライブスルー方式の検査センターの設置を発表(3月17日)。
  • オーウィングス・ミルズ (Owings Mills)、プリンス・フレデリック (Prince Frederick)の車両排気ガス検査場(VEIP)に、新たなドライブスルー検査場を開設することを発表。これにより州内の同種の検査場は7か所となる(4月27日)。
  • 州西部ヘイガーズタウン(Hagerstown)の車両排気ガス検査場(VEIP)に新しいドライブスルー検査場を開設することを発表(5月4日)。
  • ウェストミンスターのキャロル郡農業センター(Carroll County Agriculture Center)にドライブスルー検査場を新設することを発表。これにより州内の同種の検査場は9か所になる(5月13日)。
  • プリンスジョージズ郡クリントン(Clinton)とハイアッツビル(Hyattsville)の車両排気ガス検査場(VEIP)に、新たな検査場を開設することを発表(5月19日)。
  • 今後、新型コロナウイルスに暴露した可能性があるが、症状が出ておらず、医師からの検査指示書がない人でも、州内の4カ所の検査場で予約無しのドライブスルー検査を受けることが可能になることが発表される(5月22日~)。検査料は保険でカバーされる(5月19日)。
  • CVS17店舗(ドライブスルー窓口)で、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が定める要件及び年齢に関するガイドラインを満たす人を対象に、ドライブスルー検査の受付が開始。検査希望者は事前にCVSのウェブサイトで予約が必要。医師からの検査指示書は不要(5月22日)。
  • プリンスジョージズ郡アッパー・マルボロ(Upper Malboro)にあるテーマパーク「シックス・フラッグス・アメリカ(Six Flags America)」に事前予約や医師の診断なしで受検できる新たなドライブスルー検査場を設置することを発表。既に発表されているプリンスジョージズ郡クリントン車両排気ガス検査場のドライブスルー検査場も5月28日から稼働予定であり、州内のドライブスルー検査場はこれで11カ所になる(5月27日)。
  • ドライブスルー検査を行う州内のCVSが30店舗に拡大(5月28日)。

※在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。ただし、表現を改めている部分がある。

メリーランド州の検査場

メリーランド州の「新型コロナウイルス感染症の検査」(COVID-19 Testing)のページには、主要な検査場の一覧が掲載されています。

一覧には全ての検査場が掲載されているわけではないと但し書きが付けられていますが、記事執筆時点(2020年6月9日)で115ヶ所の検査場が掲載されています。このうち、車両排気ガス検査場(VEIP)を活用したドライブスルー検査場が9ヶ所、薬局・コンビニエンスストアのチェーンであるCVSが30ヶ所となっています。


メリーランド州では、このようにして検査体制の拡充が進められてきました。

5月20日には、州の人口の3.5%に相当する208,658件の検査がこれまでに行われたこと、この1ヶ月間に140,767件の検査が行われたこと、これは前の1ヶ月間の2倍になったことが発表されています。

「長期的な検査戦略:
今日の時点で、メリーランド州は208,658件の新型コロナウイルス感染症の検査を実施しており、これは州の人口の3.5%を占めます。この1ヶ月間で、州は140,767件の新型コロナウイルス感染症の検査を実施しており、前の1ヶ月の2倍になりました。4月29日、ホーガン知事は高齢者施設や養鶏場などの優先度の高い感染爆発(outbreak)やクラスター、州施設における第一線の医療従事者やファースト・レスポンダー(負傷者や被災者に対して最初に応急処置などを行う人)に、追加の検査リソースを集中すると発表しました。これらの取り組みが本格的になり、メリーランド州民への検査は拡大し続けています。」
※メリーランド州「Governor Hogan Announces Critical Milestone in COVID-19 Testing Strategy as State Broadens Criteria for Testing, Dramatically Expands Testing Availability Statewide」のページの翻訳。

(更新:2020年10月1日)