※ワシントンDCのその後の状況はこちらを参照。
※ワシントンDCにおける対応を時系列で整理した情報はこちらを参照。
ワシントンDCは人口約70万人のアメリカの首都です。ここではワシントンDCにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況の推移をご紹介します。
ワシントンDCの対応
アメリカでの新型コロナウイルス感染症の感染者は、2020年1月21日に西海岸のワシントン州で初めて見つかりました(※Wikipediaの「アメリカ合衆国における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」のページより)。ワシントンDCで初めての感染者が見つかったのは、それから約1ヶ月半後の2020年3月7日。
2020年3月11日にはヒト・ヒト感染を含む新たな感染者が確認されたことが発表され、「非常事態」(State of Emergency)、および、「公衆衛生上の緊急事態」(Public Health Emergency)が宣言されました。2020年3月24日には「基幹的でないビジネス」(Non-Essential Businesses)の営業停止の措置が発表。そして、2020年3月30日には外出禁止令(自宅待機命令:Stay-at-Home Order)が発令されました。さらに、2020年4月8日には食料品店におけるマスク着用が義務化、2020年4月15日にはタクシー、ライドシェア、民間輸送業者等の利用者、ホテルの宿泊客のマスク着用が義務化されました。
2020年4月中旬になると感染防止の対応によって停滞している社会をどう再開するかの提案が見られるようになっています。2020年4月23日には『DC再開』(Reopen DC)が発表され、3つのフェーズによって社会を段階的に再開していくことが提案されました。
2020年5月29日に外出禁止令(自宅待機命令:Stay at Home Order)が解除され、「Stay at Home Light」(軽い自宅待機)となり、再開フェーズ1に移行し、テストランの屋外ダイニングが再開されました。2020年6月22日からフェーズ2に移行し、収容人数を制限してのレストラン屋内での飲食が再開されました。
2020年12月からはワクチン接種が開始。2021年5月17日には収容人数などの規制を解除する市長令が発令されました。2021年9月末からはファイザー製ワクチンの3回目の接種(ブースター接種)も始まっています。
ワシントンDCではこのように「基幹的でないビジネス」の営業停止、外出禁止令(自宅待機命令)、マスク着用の義務化など感染防止のための厳格な対応が早期に出されてきました。そして、感染状況をふまえて規制を徐々に緩めたり、強めたりするアプローチがとられてきました。
2022年2月25日、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)がマスク着用のガイダンスを更新しました。郡(County)単位での新型コロナウイルスの感染レベル(COVID-19 Community Level)の3段階のうち、感染レベルが「低」「中」の郡では原則として屋内でのマスク着用を求めないという内容で、これによりほとんどの地域(郡)では、原則として屋内でのマスク着用が求められなくなりました。
感染者数・死亡者数の推移
ワシントンDCの1日の感染者数は、いくつかの山が見られます。2021年12月にはオミクロン株により感染者数が大きく増えましたが、2022年1月中旬には感染者数のピークを超えています。
1日の死亡者数は外出禁止令(自宅待機命令)が発令されていた期間は7日の移動平均で10人を超えていた日もあります。その後もいくつかの山がありますが、オミクロン株の感染が広がっていた2022年1月でも7日の移動平均で約4人となっています。そして、2022年2月末には7日の移動平均で1人を下回るようになっています。
検査数の推移
ワシントンDCでは検査体制も徐々に拡充され、ドライブスルー、及び、消防署を含めたウォークアップ(徒歩)の検査場がもうけられてきました。
1日の検査数は、感染の広がりを受けて、最近では2021年11月にかけて増加していきました。その後、減少しましたが、オミクロン株による感染の拡大により2022年1月にかけてまた増加していきます。
陽性率はいくつかの山が見られますが、外出禁止令(自宅待機命令)が発令されていた期間と、オミクロン株による感染が拡大していた2021年12月〜2022年1月に大きな値になっています。
ワクチン接種完了者数の推移
2020年12月11日、アメリカのファイザーとドイツのビオンテック製が共同開発したワクチンが食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から緊急使用の許可を得て、2020年12月14日から接種が始められました。
2021年11月19日、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)がファイザー製ワクチン、モデルナ製ワクチンの2回目接種から少なくとも6か月が経過した18歳以上の全ての人を、推奨するブースター接種の対象に加えると発表。この発表を受けて、ワシントンDCでは18歳以上の全ての人に対するがファイザー製ワクチン、モデルナ製ワクチンのブースター接種が開始されました。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のガイダンスでは、2回接種のワクチンの場合、2回目の摂取から2週間以上経過した人、1回接種のワクチンの場合、摂取から2週間以上経過した人がワクチン接種完了者(People Fully Vaccinated)と定義されています。
2022年2月28日時点で、ワクチン接種完了者(People Fully Vaccinated)は約64万人。約70万人の人口の約91%がワクチン接種を完了していることになります(3回目のブースター接種を除く)。
日本は、2022年3月10日時点のワクチン接種完了者は79.3%であり(※日本経済新聞「チャートで見る日本の接種状況 コロナワクチン」(2022年3月10日最終更新)のページより)、ワシントンDCの方がワクチン接種完了者の割合が大きくなっています。
ワシントンDCの動きは、行政からの要請を受けたり、世間の目に対応したりすることで、あくまでも「自粛」として感染防止が行われきた日本とは異なることがわかります。また、検査数が多いこと、ワクチン接種の開始時期が早かったことも日本との違いです。
2022年2月25日、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)がマスク着用のガイダンスを更新し、ほとんどの地域(郡)では原則として屋内でのマスク着用が不要とされました。これは大きな変化ですが、公共交通機関では引き続きマスク着用が求められていたり、独自にマスク着用を求める店舗や施設があったりします。自らの判断でマスクを着用している人もいます。そのため、完全にマスクが不要となったわけではないというのが現状です。