2016年2月、ワシントンDCの非営利法人「Ibasho」代表の清田英巳さん、「Ibasho」の理事の1人であるTaryn Pattersonさんとネパールを訪問した際、現地の『WOW』という雑誌からIbashoの活動についてインタビューを受けました。インタビューが掲載された誌面をご紹介させていただきます。
“Elders as Agents of Change,” WOW, March, 2016
田中へのインタビューは以下の通りです。インタビューでは通訳をしていただきながら、次のような趣旨の話をさせていただきました。なお、雑誌の記事には、3人が別々に話した内容を、編集して掲載していただいています。
●地域で高齢者が忘れられないようにするためにはどうすればいいか?
高齢者が忘れられないようにするためには、これまで続けてきた日常生活を高齢者の方自身がまず大切にすること、そして、その日常生活を若い世代と共にする機会をもうけることで、日常生活の意味を継承していくことが大切ではないか。
●高齢者に対してどのようなケアが必要だと思いますか?
ケアというのは一方的に与えるものではなく、癒やし/癒やされるという双方向のものだと思う。だから、互いにケアし合える関係を作ることが大切だと思う。また、高齢者がまず尊厳をもって暮らせるような環境を作ることも大切。人間関係や環境との関係性において癒やされるという側面に注目する必要があると考えている。
●Ibashoのプロジェクトをどのように広げていきますか?
一度に多数のプロジェクトをすることはできない。プロジェクトをやりっ放しにせず、少しのプロジェクトを時間をかけて進めていくことが重要だと考えている。プロジェクトでどのようなことが起こったかをきちんと記録し、調査もまじえてプロジェクトが生み出したものや課題も捉えていくこと。このようなプロセスを共有することにより、結果として広がっていけばいいと思う。
インタビューの後、何か追加することはありますか? と聞かれたので、自分たちがネパールから学ぶ必要があると答えました。インタビューの方からは、ネパールから学ぶのは文化ですか? と聞かれたので、文化だけではないと言い、次のような話をしました。ネパールに来て、日本を含めた先進国は「Developed Country」で、発展途上国は「Developing Country」と表現されるるのだということを思い浮かべ。日本は年金をはじめとする各種制度が整っているが、現在、それが崩れつつある。それらをこれから立て直していく必要があるが、その際には、今まさに発展しつつあるネパールから学べることは多いのではないか、学ばなければならないのは決して文化のことだけではなく、どうやって社会を組み立てていくか(再構築していくか)という根本的な部分ではないか。このような話をさせていただきました。
実際のインタビューでは、ここに書いたようには十分な回答ができなかった部分もありますが…
日常生活を大切にすること、人間を関係性において捉えること、活動をきちんと記録し共有すること。インタビューで話をさせていただいたことは、大船渡の「居場所ハウス」への関わりを通して考えてきたことです。そして、最後の部分、我々がネパールから学ぶ必要があるというのは、今回初めてネパールを訪れて、強く実感したことです。