『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

交流歓迎会でのアンケート調査より

「居場所ハウス」では2016年4月16日(土)に、「居場所ハウス」の周囲等に高台移転した方/高台移転される方(自力再建、防災集団移転、災害公営住宅へ入居される方)との交流歓迎会を開催しました。この日は晴天にも恵まれ、高台移転した方/高台移転される方、約50人にお越しいただき、振る舞い膳や音楽ライブなどで、「居場所ハウス」での時間を過ごしていただきました。
高台移転した方/高台移転される方はどのような要望を持っておられるのか? また、暮らしにおいてどのような困り事・不安を持っておられるのか? をお聞きし、これからの「居場所ハウス」の運営にいかすためアンケートを行いました。
参加された約50人のうち、アンケートに回答してくださったのは16人。そのため統計的にどうとは言えないと思いますが、結果をご紹介したいと思います。


(1)性別・年齢
年齢は男性、女性がほぼ半数ずつ。年齢は60代、70代が多くなっています。

160418交流歓迎会アンケート結果.001

(2)現在の住まい・今後の住まいの予定
現在の住まいは仮設住宅、自宅(防災集団移転)、自宅(自力再建)の順に多くなっています。今後の住まいの予定については、既に自宅に移転された方は「今の家に住み続ける」と回答しているため、この回答が多くなっています。また、回答者の中で1人、仮設住宅に住み続けると回答している方がいました。

160418交流歓迎会アンケート結果.002

(3)今までに参加した「居場所ハウス」の活動
最も多くあげられたのは朝市。2014年10月25日(土)にスタートして以来、毎月1〜2回(最近では毎月1回)、欠かさず朝市を開催し、4月16日(土)の朝市で20回目となりましたが、朝市は多くの人が訪れる機会になっていると考えてよいのではないかと思います。また、「行ったことがない」(初めて来た)と回答した人が4人いたことも注目されます。これは、今まで「居場所ハウス」に来たことがなかった人が交流歓迎会に来てくださったということです。交流歓迎会を開催したことの意義が、ここにも現れていると思います。

160418交流歓迎会アンケート結果.003

(4)これから「居場所ハウス」に期待すること
「様々な行事や教室を開催して欲しい」と回答している人が最も多く、具体的には、「子供達が自由に遊べる行事」「カラオケ」があげられていました。また、朝市で販売して欲しい物としては、郷土料理の「鍋やき」と、「花苗、野菜苗」「花」があげられていました。

160418交流歓迎会アンケート結果.004

(5)現在の暮らし、これからの暮らしで困っていること、不安に思っていること
この質問への回答(自由記述)は以下の通り。

  • 末崎の子供達がのびのびと遊べるスペースが欲しいです
  • 自由に買物ができる環境。交通の便(車が運転できなくなった時)
  • 災害公営住宅からの通路を作って欲しい(市への要望)
  • 〔居場所ハウスの行事を〕日曜日にしてほしいです。
  • 健康(体)、生活

暮らしで困っていること、不安に思っていることは自分自身の問題よりも、地域の問題があげられるという傾向がみられます。地域で子どもたちが遊べる場所がない、車が運転できなくなった時にどうやって生活するかというのは、以前、「居場所ハウス」で開催したワークショップでも出された意見であり、地域にとって切実な問題だということがわかります。また、「居場所ハウス」の身近なところでは、来月末から入居が始まる県営の災害公営住宅は「居場所ハウス」のすぐ側にあるにも関わらず、道がないためぐるっと遠回りしないと来れないことを書いている方もいます。

以下は一般的な話になりますが、防災集団移転や災害公営住宅を建設するために敷地を確保することは難題だと思います。復興事業はあまり時間をかけることができないというのも事実です。それを理解した上で、防災集団移転や災害公営住宅での暮らしはそれぞれの敷地内で完結するわけではないので、そこに住む人がどの道を通って買物に行ったり、病院に行ったり、通学したりするのかなど、計画の際には周辺地域との関わりという視点は欠かせないと感じます。