『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

末崎小学校の「おかえりなさい校庭」の会

2016年12月6日(火)、大船渡市末崎町の末崎小学校にて「おかえりなさい校庭」の会が開催されました。
末崎小学校では東日本大震災後、校庭に建設された山岸仮設(山岸団地)の撤去が完了し、11月21日(月)から校庭としての利用が再開されていました。「おかえりなさい校庭」の会は、授業参観にあわせてミニ運動会として開催。保護者や地域の方が見守るなか、子どもたちはリレー、末崎ソーランを披露。

末崎小学校の運動会は、毎年5月に「鯉のぼり運動会」として開催されていました。写真で、校庭に鯉のぼりがなびいているのはここに由来します。校庭としての利用は再開されましたが、次回の運動会は2017年5月。そうなると、今の6年生が一度も校庭で運動会ができません。「おかえりなさい校庭」の会は、今の6年生が校庭で運動会を経験できるようにという配慮もあったのだと思います。雪が舞い、冷たい強風が吹く非常に寒い日でしたが、辺りには子どもたちの声が響き渡っていました。

「おかえりなさい校庭」の会の放送の様子は、「居場所ハウス」まで聞こえていました。ある方が「しばらくぶりで小学校から声が聞こえるなぁ」と嬉しそうに話されていました。

小学校の校庭では、以前、山岸仮設にお住まいだった女性にもお会いしました。この女性は既に高台移転を済ませておられますが、校庭から声が聞こえてきたということで様子を見に来たとのこと。
子どもたちが校庭を駆け回っている様子を見て、「ここで色々あったなと思って」と話してくださった女性は涙ぐんでおられたように思います。
仮設住宅は仮の住まいだとは言え、震災後の被災者の暮らしを支えた暮らしの場所であった。その暮らしを懐かしむと同時に、校庭が開放されたという嬉しさ、校庭を長期にわたって仮設住宅が占拠してしまっていたという申し訳なさ。そして、東日本大震災の経験。この涙には色々な思いが混ざっているのだろうと考えていました。

なお、山岸仮設は既に撤去されてしまいましたが、住民たちのつながりは継続しており、来年、かつての住民同士の同窓会を企画されているとのことです。

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