『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

ワシントンDC、デュポン・サークルのファーマーズ・マーケット

欧米にはファーマーズ・マーケットという場所があります。ファーマーズ・マーケットとは「主にその地域の生産者農家が複数軒集まって、自分の農場でつくった農産物を持ち寄り、消費者に直接販売するスタイルの市場」(*Wikipediaより)のこと。海外に行った時はファーマーズ・マーケットに行くのを楽しみにしています。

写真はアメリカ、ワシントンDCのデュポン・サークル(Dupont Circle)で開催されているファーマーズ・マーケット。1997年に食と環境問題についての教育、及び、地元の農家への経済的機会の提供を目的として設立された非営利組織「フレッシュファーム・マーケット(Freshfarm Markets)」によって開催されています。非営利組織・フレッシュファーム・マーケットは現在、ワシントンDCとその周辺で13のファーマーズ・マーケットを開催していますが(これらのマーケットには生産者だけが出店できる)、デュポン・サークルは13の中で最初にスタートしたファーマーズ・マーケットです。
デュポン・サークルのファーマーズ・マーケットは毎週日曜日に開催されており(1〜3月は10〜13時、4〜12月は9〜14時)、2014年11月23日には46の生産者が出店しています。人参、カボチャ、ブロッコリー、キャベツ、リンゴなど色とりどりの野菜や果物に加えて、肉、ヨーグルト、花、石けん、そして、買ったその場で食事できるパンやピザなどが販売されており、小さな子どもを連れた人から高齢の人まで多くの人が訪れていました。

ファーマーズ・マーケットは生産者から直接、新鮮で安全な食を購入できる場所ですが、単にそれだけでなく、時には味見をしながら生産者と会話をしながら買物を楽しんだり、顔を合わせた知人や友人と話をしたり、音楽の生演奏を楽しんだり、食事をしたりできる場所でもあり、また、シェフが目の前で調理したりレシピを配布するなどのプログラムを通して食について学べる場所でもあります。この意味で、地域の人々にとって大切な暮らしの場所であり、コミュニティの場所だと言えます。

「居場所ハウス」のある大船渡市末崎町には大型のスーパーマーケットが1件もないため、大型のスーパーマーケットが欲しいという声をよく耳にします。大型のスーパーマーケットがあれば確かに便利だと思いますが、大型のスーパーマーケットはボランティアで営業するわけでないため、末崎町に出店するコストに見合った利益が得られないと判断されれば、出店が実現することはありません(仮に出店が実現しても、利益がなければ閉店してしまう)。地域の人々の思惑を越えたところで、出店や閉店が決定されてしまいます。そうだとすると、地域の人々が自分たちで豊かな食、それを通じた豊かな暮らしを実現するために動くしかないのだと思います。
「居場所ハウス」の朝市はまだまだ始まったばかりの試みですが、地域の生産者が、地域の人々と出会うための場所として成長していけばと思います。暮らしの価値観をちょっと変えてみれば、地域で生産された新鮮な食を購入できる、地域内で買物をすませることができる、地域の農業・漁業が継続するのを支えることができる、伝統的な食についての知識を伝えることができる、地域の人々が出会うことができるなど、朝市の恩恵は計り知れません。

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