2016年11月5日（土）、6日（日）、末崎地区公民館「ふるさとセンター」にて町民文化祭が開催されました。公民館が主催する行事としては、9月の敬老会と並ぶ大きな行事です。
体育館と和室では、両日にわたって子どもから高齢の方まで、多世代の人々による絵画、書道、写真、生花、陶芸、手芸などの展示、お茶席、婦人会によるバザーなどが行われました。
町民文化祭で「デジタル公民館まっさき」は、10月15日に開催された中森熊野神社式年大祭について展示。式年大祭を撮影したDVDが上映され、写真が各組ごとのクリアファイルに入れて展示されていました。その他、パソコン教室、避難所ゲームなど「デジタル公民館まっさき」の活動写真も展示されていました（式年大祭のDVDは、12月に上映会が開催されるとのことです）。「まっさき竹とんぼグループ」は竹トンボなどの作品が、12月に開かれるミニ門松づくりのチラシなどとともに展示されていました。
平地区で毎月発行され、全戸配布されている『平だより』のバックナンバー1年分が展示されていたことには驚きました。芸術的な作品に加えて、地域における活動のアーカイブが展示されているのは興味深いと思いました。『平だより』の編集に携わっている方は、「こういうものを配っても、すぐにゴミ箱に捨てられたら意味がない。そうならないように誌面を工夫している」、「自分の知ってる人が誌面に出てたら読んでもらえるから、毎回、色んな人のインタビュー記事を載せている」と、『平だより』にこめた思い、工夫を話してくださいました。
「居場所ハウス」は町民文化祭には直接は参加していませんが、毎月開催されている草月流生け花教室のメンバーが、自主的に生花を出展されいました。昨年に引き続き、2回目の出展です。また、今年の4月から毎月開催されている物づくり教室のメンバーも、教室で作った手芸を自主的に出展されていました。また、11月6日（日）には、「ふるさとセンター」に隣接する末崎中学校体育館で踊り、吟詠などの芸能が披露されましたが、発表を終えた大正琴のグループの方をはじめ、町民文化祭の帰りに「居場所ハウス」に立ち寄り食事をしたり、コーヒーを飲んだりしてくださった方がいて、昼食時はほぼ満席となりました。
公民館が主催する大きな行事である町民文化祭ですが、来館者は多くなかったという話を何人かから伺いました。地域の方々の作品が、多くの人の目に触れないことは残念なこと。
作品を多くの人の目に触れるようにするためには、例えば、ウェブサイトで発信する、日常的に人が集まっている場所に展示するなどの可能性もあるかもしれません。
このようなことを考えていた時、もしかしたらこの2つの可能性は、現在、末崎町を拠点として活動している「デジタル公民館まっさき」と「居場所ハウス」の2つに重なってくるかもしれないな。そんなことを思いました。
町民文化祭から話が逸れてしまいますが、「デジタル公民館まっさき」と「居場所ハウス」に共通するのは、東日本大震災後、地域外からの提案がきっかけとなりスタートし、その後、地域内外の人々の関わりによって継続されてきた活動であること。地域外からの一方的な支援の押しつけで終わることなく、地域内外の人々の関係が築かれ、ここまで継続されてきたもの。
「デジタル公民館まっさき」はITによって、「居場所ハウス」は空間によってという違いがありますが、従来になかった形の人々の関わりを生み出している。さらにそれは、地域内外の人々による、地域を越えた関わりを含んでいることも、2つの活動に共通しています。
末崎町において公民館は、住民活動の拠点であると同時に、住民と行政の媒介でもあるという、2重の役割を担う重要な組織。「デジタル公民館まっさき」も「居場所ハウス」も公民館を置き換えるものではなく（居場所ハウスを「第2の公民館」だと表現する人もいます）、既存の公民館をずらしながら、新たな価値を付加するものだと言ってよいかもしれません。
当初、地域外からの働きかけによってスタートした2つの活動ですが、末崎町が被災地から被災地「後」の平常の町へと移行しつつある中で（あるいは、戻っていく中で）、これらの活動を財産として継承していくか、あるいは、被災地における活動として終わりにするのか。継承するとすればどのような形で継承していくのか。それを決めるための主導権は、既に末崎町の側にあると考えています。
