『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

グリーンベルトのミュージアム

091102-043250 120604-133041

写真はグリーンベルトにあるコミュニティ・ミュージアム(街の歴史を伝えるミュージアム)で、1人の居住者が地域新聞に「グリーンベルトには、街の歴史を伝えるミュージアムが必要ではないか」という地域新聞への投書をきっかけに生まれた場所です。

グリーンベルトは、大恐慌期にニューディールの哲学の表現として建設されました。私たちの国の歴史における重要な期間についてのミュージアムを作るために、ここほど適した場所があるでしょうか?
・・・(略)・・・
どうやってミュージアムを作るのにとりかかればいいのか、
考えがありません。でも、ひょっとしたらグリーンベルトには、こういうことについて何か提案できる知識のある人がいるかもしれません。無理な注文のように思えてきます。けれども、今あるどんなミュージアムも、誰かが、いつか始めたものなのです。興味のある方はいませんか?
*「Greenbelt News Review」1972年7月13日

手紙から15年が経過した1987年、グリーンベルトのまちびらき50周年記念事業として、グリーンベルト・ミュージアム(Greenbelt Museum)が生まれました。
ミュージアムは1937年に建設されたブロック造の住宅の一戸に開かれており、1936〜1952年にかけての中流家庭の住宅の家具や電化製品などがしつらえられ、当時の生活の様子が再現されています。建物は市が所有し、市の職員であるキュレーターと、ボランティア団体(FOGM=Friends of Greenbelt Museum)によって運営。ミュージアムを訪れると、最初にガレージを利用したスペースでグリーンベルトを紹介する10分ほどのビデオを見た後、住民ボランティアの方が案内してくださいます。

  • 運営日:毎週日曜 13:00〜17:00
  • 入場料:$3、55歳以上は$2、12歳以下は$1、FOGMメンバーは無料
080922-061452 091106-030212 080922-053708 091106-031704

ガレージを利用したスペースでは本、DVD、絵はがき、トートバック、Tシャツ、ペーパーウェイト、置物、マグネット、メダル、ラグマット、マウスパッドなどのグッズも販売されています。

グリーンベルト・ミュージアムのキュレーターの女性は、インタビュー時にミュージアムの意義を次のように話してくださいました。

いつも市に思い起こさせている1つのことは、ミュージアムは街にとって、マーケティング・ツールになり得るということ。・・・・・・。私たちのミュージアム・ハウスにはしばしば、家を買うために下見にやって来る人がいるのよ。この街を見たり、近くの別の街を見たり。もしミュージアムがあれば、なぜ、この街に住むのが重要かという情報を共有できるし、新しく住宅を購入する人たちを惹きつける強力なツールになる。それは、GHIや街のビジネスを助けることになるの。・・・・・・。歴史を守ること自体が重要なだけでなくて、それは人々を惹きつけ、お金を惹きつけるのよ。

地域のミュージアムがあることは、単に歴史を守ることだけでなくて(もちろん、歴史を守ることも大切ですが)、地域をより良いものにしていくという役割もあるということ。キュレーターの方のこの発言が印象に残っています。

(更新:2015年5月30日)