『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

高田人形の思い出

3月1日(土)、「居場所ハウス」でひな祭りを行いましたが、貴重な高田人形を多くの方に見ていただくため、3月5日(水)の午前中までひな人形の展示を行いました。展示期間中は、日頃「居場所ハウス」には顔を出さない方々にもお越しいただくことができました。

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高田人形を貸してくださったHさん。会議のためやって来た高校生と一緒に人形の前に行って、「昭和16年、私が小学校3年生の時に買ってもらった。新しい〔段飾りの〕人形買ってからは飾ってなくて。忘れてたけど、何十年かぶりに出した。今年は、みんなに見てもらって幸せだねぇ」と、話をされてました。

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今回、3人の方から高田人形をお借りしました。そして、それぞれの思い出を添えて展示させていただきました。高田人形にまつわる貴重な思い出ですので、改めて3人の方の思い出をご紹介させていただきます。


【Oさん】
赤い大きな人形は約70年前の高田人形。残りの人形は約50年前の土人形。子どもの頃、陸前高田市にある今泉の「まぢの日」で、毎年1体ずつ買ってもらうのが楽しみだったとのこと。
震災前に、今泉の実家から末崎に持って来ていたため、被災を免れました。
60代後半以上の女性たちは、この人形を見るととても懐かしく、少女時代を思い出すことでしょう。

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【Hさん】
昭和10年頃、末崎小学校前のよろず屋「まつのや」さんで買ったもの。2人の姉妹が喧嘩をしないようと、毎年、それぞれ同じ人形を1つずつ買ってもらったとのこと。人形の裏には姉妹の名前が書き込まれています。
瀬戸人形はそれより後に買ってもらったもので、裏には「王様印」というラベルが貼られています。
当時、女の子のいる家では、交替で泊まりがけのひな祭りが行われていました。女の子たちは自分の人形をもって友達の家に集まり、人形を飾りつけ、ご飯を食べ、一緒に泊まるという楽しいひな祭りを過ごしました。

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【Hさん】
家で大切に保管している人形で、元々は、お姉さんの人形だった。男性のため、当時どのようにひな祭りをしていてか覚えていないという話ですが、今では、毎年、ひな祭りでお姉さんの人形を飾るのを楽しみにされているとのこと。

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ひな祭りでは、近隣の方から貴重な高田人形をお借りし、展示することができました。もしこのような機会がなければ、誰にも見られることなく、家で眠っていたかもしれない高田人形。このような人形が公開され、そして、公開された高田人形を見て思い出話が始まるという点で、「居場所ハウス」という場所が地域に伝わるものを継承することの一助となったと言えるかもしれません。
地域の文化は、こうしたことの繰り返しによって継承されていくのだと感じます。

(更新:2014年3月15日)