「居場所ハウス」は2013年6月13日にオープン。今年でオープンから4年を迎え、2017年6月17日には4周年の記念感謝祭を開催しました。
オープン当初の写真と最近の写真を見比べると、4年間で備品や壁の掲示が増えたことがわかります。必要に応じて購入した備品、食堂のメニューや「居場所ハウス」が掲載された新聞記事、寄贈された図書など。生活感が出てきたとも、ごちゃごちゃしてきたとも言えますが、日常の場所として機能していることの現れかもしれません。整理の仕方には工夫の余地があるかと思いますが。
備品や掲示が増えたことに加えて、4年間の大きな変化は「居場所ハウス」内外の空間自体も変化していること。勝手口を設置したり、土間と和室の間の柱を撤去したり、和室の奥に畳を敷いたりと、オープン後、地域の人々は空間に色々なかたちで手を加えてきました。屋外には食堂を建設しました。地域の人々は決して完成した建物の利用者「ではない」ということ。自分たちで建物内外の空間に手を加えることは、空間が使いやすい(自分たちが使いやすいと考える)状態になるだけでなく、地域の人が「居場所ハウス」に関わるためのきっかけ・役割を生み出したり、愛着を生み出したりと様々な意味があると思います。
また、オープンからの4年間で、2つの災害公営住宅が建設されたり、防災集団移転への入居が始まったりと「居場所ハウス」周辺も大きく変化しています。
「居場所ハウス」は木曜を除く週6日、10〜16時まで運営(2013年6月中は週7日、10〜17時まで運営)。
4年間に、ゲストブックやスタッフ日誌で日々カウントしてきた来訪者数は、2017年5月末で延べ26,113人、1日平均にすると21.6人になります。
*毎月の朝市、5月の鯉のぼり祭り、6〜7月の周年記念感謝祭、8月の納涼盆踊りなど大きな行事はおおよその人数でカウント。人数には運営に関わるスタッフも含まれる。
- 1年目:2013年6月〜2014年5月:17.3人/日
- 2年目:2014年6月〜2015年5月:20.9人/日
- 3年目:2015年6月〜2016年5月:23.4人/日
- 4年目:2016年6月〜2017年5月:24.8人/日
朝市や鯉のぼり祭りをはじめとする大きな行事や、生け花教室や歌声喫茶、会議などの活動が行われていない日の来訪者数の推移は以下の通り。行事や活動が行われていない日の来訪者は、お茶を飲みに来たり、食事に来たり、特に目的がなくふらっと立ち寄ったりした人です。
- 1年目:2013年6月〜2014年5月:13.0人/日
- 2年目:2014年6月〜2015年5月:14.1人/日
- 3年目:2015年6月〜2016年5月:17.5人/日
- 4年目:2016年6月〜2017年5月:16.5人/日
来訪者が多ければよいというわけではありませんが、4年間を通して一定数の人が訪れる場所になっている(オープン当初よりは少し人数は少し増えている)と言えます。来訪者の属性などについては、いずれきちんと見ていきたいと考えています。
「居場所ハウス」は高齢者が運営に関わっているという点で興味をもってくださる方が多いように感じます。
もちろんこの背景には、高齢者が地域に暮らすことの重要性が言われるという社会の状況があります。ある時は、高齢者は一方的にお世話される存在ではなく、何歳になっても役割を担いながら、世代を越えた人々と助け/助けられながら地域で暮らし続けることがよいという、「暮らしの豊かさとは何か?」を問う立場から、またある時は、国の財政が逼迫している状況においては、元気な高齢者は自助・共助でやってもらうことで支出を抑える必要があるという立場から、高齢者が地域に暮らすことの重要性が指摘される。
こうした状況に対して、「居場所ハウス」に4年間関わってきて教えられることは、顔の見える関係においては高齢者という概念が後景としてひいたものになっていること。確かに、「居場所ハウス」で日々出会う方の多くは、一般的には高齢者だと呼ばれる世代の方々かもしれません。けれども、日々の関わりにおいてこのような方々は○○さん、○○さんという具体的な名前、顔をもった個人でしかあり得ない。このようにわざわざ高齢者などと意識しないとも関われるような領域があります。
高齢者が地域に暮らすということが目指しているのは、(矛盾しているかもしれませんが)高齢者ということをわざわざ意識せずとも暮らせるような地域、あるいは、社会を作りあげていくことではないかと考えることもあります。