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新型コロナウイルス感染症による休校期間中に子どもの食生活をサポートする取組み:アメリカ・メリーランド州

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応として、2020年3月2日から全国の小中学校、高校、特別支援学校を休校することが要請されました。学校では給食がありますが、学校が長期にわたって休校になることで、子どもたちの食生活をどうサポートするかも課題となります。

アメリカ東海岸のメリーランド州でも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、2020年3月16日から公立学校が休校とされており(※現時点では5月15日まで休校されることがアナウンスされている)、日本と同じ状況となっています。

ここではメリーランド州のモンゴメリー郡(Montgomery County)における、子どもたちの食生活をサポートする取組みをご紹介したいと思います。


メリーランド州の公立学校では、家庭の所得により昼食が無料、または、割引価格で提供されています(※公立学校の学費自体は無償)。40万人以上の子どもが無料、または、割引価格での食事の提供を受けているとされており、学校が休みになる期間に健康な食事をどうやって提供するかが大きな課題とされています。こうした背景から、夏休み期間中には子どもたちに無料で健康な食事を提供する「サマー・フード・サービス・プログラム」(SFSP=Summer Food Service Program)が行われています*1)。

新型コロナウイルス感染症による休校期間中も、「サマー・フード・サービス・プログラム」と同じ仕組みによって、子どもたちに昼食を提供するプログラムが行われています。

写真はモンゴメリー郡(Montgomery County)のハイランド小学校(Highland Elementary School)前で見かけた掲示。これは、モンゴメリー郡の公立学校(MCPS=Montgomery County Public School)による食事・栄養サービスによる昼食の受け取り場所を案内する掲示です。

MCPによる食事・栄養サービスの概要は以下の通りとなっています*2)。

  • モンゴメリー郡の公立学校に通う18歳以下の全ての子どもが対象
  • 食事は無料
  • 配布されるのは包装済みの出来あいの食事(Grab-and-Go format)
  • 食事は週4回(月・火・水・金)の11時から13時まで。水曜は2日分の食事を配布*3)
  • 事前の予約は不要

食事の配布場所は、小学校25校、中学校9校、高校8校に加えて、アパートでの配布(Mobile Location)3ヶ所、バスによる配布6台*4)とされており、子どもはいずれかの場所に行って食事を受け取ることができるとされています。