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ピクニック・イン・ザ・パークとポップアップ・ピクニック・パーク:新型コロナウイルス感染症に対する公園の対応

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は飛沫感染するとされていることから、感染防止のためには、特に人々が密集する屋内の場所を避ける必要があると言われています。日本でも、飲食店や各種小売店、図書館や美術館、劇場などの施設が休業・閉鎖された時期もありました。休業・閉鎖は解除されつつありますが、座席数を減らすことで人数制限をしたり、滞在時間が短くなるようにしている店舗や施設もあります。

屋内での活動が制限される状況において、公園が注目されるようになりました。ここでは、アメリカ東海岸メリーランド州のモンゴメリー郡(Montgomery County)の「ピクニック・イン・ザ・パーク」(Piclnic in the Park)と「ポップアップ・ピクニック・パークス」(Popup Picnic Parks)という試み紹介したいと思います。


メリーランド州では、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、2020年3月30日に自宅待機命令(Stay-at-Home Order)が発令されました。これにより、レストランとバーはテイクアウトやドライブスルーのみ営業が許可されました。
2020年5月6日には、ステージ1への移行前に、アウトドア・アクティビティの再開が許可されました。再開が許可されたのはゴルフ、テニス、ボート、キャンピングなどのアクティビティで、これに伴い州立公園は全面的に再開、州立公園の一部であるビーチはウォーキングやエクササイズのために開放、地方政府の管轄下にあるプレイグラウンドなどが再開されることになりました。
2020年5月15日、自宅待機命令が解除され、再開ステージ1に移行。この時点で小売施設は最大収容人数の50%を上限として営業再開が許可されましたが、レストランとバーは引き続きテイクアウトやドライブスルーのみ運営が許可されていました。

この後、2020年5月29日からはレストランとバーでの屋外ダイニング(屋外での食事)が再開可能となりました。そして、2020年6月12日からは最大収容数の50%を上限として、レストラン内での飲食の再開が許可されました*1)。

このようにレストラン内やカフェ内での飲食が制限される状況において、ピクニック・イン・ザ・パーク」(Piclnic in the Park)と「ポップアップ・ピクニック・パーク」(Popup Picnic Parks)はいずれも、公園をレストランの屋外席として活用する取り組みとなっています。

ピクニック・イン・ザ・パーク(Piclnic in the Park)

「ピクニック・イン・ザ・パーク」はモンゴメリー・パークス(Montgomery Parks)が、観光マーケティング会社のVisit Montgomery、MoCo Eatsと提携して行っている試験的な取り組みで、公園内に「デリバリー・ゾーン」を設け、飲酒を含めた飲食の場所にするというものです。

「モンゴメリー・パークスと観光マーケティング会社のVisit Montgomeryが提携し、公園利用者が携帯端末でQRコードをスキャンすることで近くのレストランを見つけることができる新たな「ピクニック・イン・ザ・パーク」(Picnic in the Park)の取り組みを開始しました。9つの公園それぞれには、物理的に離れた(physically distanced)複数のピクニックエリアとともに、サインがついた特定の「配達ゾーン」(delivery zone)があります。」*2)

ここに記載されている通り、「ピクニック・イン・ザ・パーク」は郡内の以下の9公園で行われています。9公園は、それぞれの公園を中心とする半径5〜10マイル(約8〜16km)にレストランが集中していることから選ばれたということです*3)。

  • Jesup Blair Local Park
  • Norwood Local Park
  • Acorn Urban Park
  • Wheaton Regional Park
  • Wheaton Local Park
  • Germantown Town Center Urban Park
  • Wall Local Park
  • Olney Manor Recreational Park
  • Takoma Urban Park

モンゴメリー・パークスのページには、「ピクニック・イン・ザ・パーク」について次のように説明されています。

「■どのようなルールを設けていますか?
・飲酒は、公園全体ではなく、指定されたエリアでのみ許可されています。
・お酒の所持、飲酒は午前11時から夕暮れまでに限られます。
・訪問者は21歳以上であり、州および地方のすべての法律に従う必要があります。

■お酒の持ち込みは可能ですか、あるいは、レストランで注文したお酒のみですか?
本命令(Directive)はお酒の持ち込みを禁止していませんが、来園者には、持ち込みではなく、近くのレストランに食事やお酒を注文することで、地元のレストランをサポートすることを勧めています。

■新型コロナウイルス感染症を考慮して、この取り組みではどのような安全対策を講じていますか?
ピクニック・イン・ザ・パークでは、オンライン注文によりタッチ・ポイント(接点)をなくすためにQRコードを利用しており、来園者が携帯電話でお気に入りのレストランからテイクアウトを選べるようにしています。加えて、パイロット・パーク内のピクニック・サークルとピクニック・テーブルは6フィート離されているため、来園者は物理的に距離を確保することができます。公園警察(Park Police)は大規模な集会を防ぐため、郡の健康ガイドラインを施行します。

■この取り組みを他の公園にも拡大する予定はありますか?
パイロット・プログラムを評価し、他の地元のレストランをサポートするために、プログラムを他の公園に拡大することの可能性を判断します。

■公園に持ち込めるお酒の量に制限はありますか?
持ち込める量に制限はありませんが、来園者には責任を持って飲酒し、適用される州や郡の法に従うことを求めています。

■公園では、ゴミの増量にどう対応しますか?
必要に応じてゴミ箱を追加しました。また、公園スタッフがゴミの増加をモニターしています。最後に、このキャンペーンのメッセージの一部として、来園者にゴミを適切に処分することを求めています。」*4)

ポップアップ・ピクニック・パーク(Popup Picnic Parks)

外食をして地元のレストランをサポートしたいが、屋外で食事をしたいという要望に応えるため、モンゴメリー・パークス(Montgomery County Parks and Recreation)とノース・ベセスダ・マリオット・アンド・カンファレンス・センター(North Bethesda Marriott and Conference Cente)との共同で立ち上げられたもの。ノース・ベセスダのパイク地区(Pike District)において、次の4ヶ所のポップアップの(一時的な)ピクニック・パークが開かれています*5)。

  • The Hill: Corner of Rockville Pike and Old Georgetown Road.
  • Market Street Park: Corner of Market Street and Executive Boulevard (next to the Conference Center parking garage).
  • The Patio: Corner of Rockville Pike and Marinelli Road, near the west side entrance to the White Flint Metro Station.
  • Wall Park: Corner of Executive Boulevard and Nicholson Lane.

モンゴメリー郡のページには、ポップアップ・ピクニック・パークが次のように説明されています。

「マーケット・ストリートにある最も大きなピクニック・パークには、14のピクニック・テーブルと、持ち寄った椅子やシートなどでのピクニック(bring-your-own seated picnic)のためのマークされた座席エリアがあります。エリアは全て直径8フィート(2.4メートル)で、6フィート(1.8メートル)間隔で配置されています。追加の安全対策として、ハンドサニタイザー(手指消毒剤)のステーションと、クリーニング用品を用意しています。

他の3つの公園でも、距離を確保したピクニック・テーブルと追加のスペースを席にを持って用意しています。公園利用者は、希望に応じて自らのテーブル、椅子、ブランケットを持参できます。

ポップアップ・ピクニック・エリアは秋まで利用可能です。1グループの人数は、モンゴメリー郡の新型コロナウイルス感染症のフェーズ2の規定を超えてはならず、現在は50人以下に制限されています。フェーズ2の街路ダインでは、飲食時を除き、屋外でも常にマスクを着用することを求めています。」*6)


道路を活用する「シェアード・ストリート」とともに、モンゴメリー郡では、新型コロナウイルス感染症への対応として屋外を様々なかたちで活用することが試みられていることがわかります。