『わたしの居場所、このまちの。:制度の外側と内側から見る第三の場所』(水曜社, 2021年)のご案内

アメリカ・メリーランド州の新型コロナウイルス感染症への対応(2020年3月~2021年10月)

※メリーランド州のその後の状況はこちらを参照。
※メリーランド州における対応を時系列で整理した情報はこちらを参照。


メリーランド州は、アメリカ東海岸に位置(ワシントンDCに隣接する州)する人口約600万人の州です。ここではメリーランド州において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対してどのような対策がとられたのかをご紹介します。

感染者数・死亡者数の推移

アメリカでの新型コロナウイルス感染症の感染者は、2020年1月21日に西海岸のワシントン州で初めて見つかりました(※Wikipediaの「アメリカ合衆国における2019年コロナウイルス感染症の流行状況」のページより)。メリーランド州で初めての感染者が見つかったのは、それから約1ヶ月半後の2020年3月5日。

メリーランド州の1日の感染者数は、いくつかの山が見られますが、2020年11月から2021年1月にかけての時期が最も多く、1日に3,500人を超える日もありました。最近では、2021年9月中旬から10月上旬にかけて1,500人近い日もありましたが、その後はやや減少しています。

一方、1日の死亡者数は外出禁止令(自宅待機命令)が発令されていた期間は多く約170人という日もありました。2020年11月~2021年1月にかけてやや増加したものの、その後は減少。最近では、2021年9月中旬から10月上旬にかけてやや増加していましたが、10月下旬には20人を超える日は見られません。

検査数の推移

メリーランド州では検査体制も徐々に拡充されてきました。2020年3月17日という早い段階で、州内の車両排気ガス検査場(VEIP=Vehicle Emissions Inspection Program)を活用して、ドライブスルー方式の検査場を設置することが発表されています。当初、検査には医師の検査指示書(order)と予約が必要とされていましたが、2020年5月22日からは複数の検査場で医師の検査指示書や予約なしでの検査が可能となり、これにより新型コロナウイルス感染症に暴露した可能性がある人でも検査を受けることができるようになっています。2020年5月22日からは薬局・コンビニエンスストアのチェーンであるCVSでも医師の検査指示書が不要のドライブスルー検査を受けることができるようになっています(※メリーランド州における検査体制はこちらを参照)。

メリーランド州の1日の検査数は2020年12月にかけて増加しており、2020年12月には1日に6万件を超える日もありました。最近でも2021年9月中旬から10月上旬にかけての感染の広がりを受け、1日に5万件を超える日も見られます。
メリーランド州の人口約600万人に対して、2021年10月31日時点の延べ検査数は約1,400万件と人口の2倍を超えており、日本に比べると人口あたりの検査数の多さがお分かりいただけると思います。
陽性率はいくつかの山が見られます。最近では、2021年8月下旬に5%を超える日も見られますが、その後は低下しています。

メリーランド州の対応

2020年3月5日、メリーランド州で初めての感染者が見つかったことを受け、メリーランド州知事が非常事態を宣言しました。2020年3月12日には、メリーランド州内での市中感染の確認を受け、公立学校の休校、250人以上の集会禁止などの措置が発表されました。翌日、2020年3月13日にはトランプ大統領が国家非常事態を宣言しました。

2020年3月16日には50人以上の集会禁止と、バー、レストラン、フィットネスセンター、映画館の閉鎖、2020年3月19日には10人以上の集会禁止と、ショッピングモール、ボーリング場、ビリヤード馬の閉鎖、電車やバスは医療従事者や警官等を優先と、禁止される集会と閉鎖される施設の種類は徐々に増えていきます。
そして、2020年3月23日には「基幹的でないビジネス」(Non-Essential Businesses)が営業停止されました。

外出禁止令(自宅待機命令)(2020年3月)

2020年3月30日には外出禁止令(自宅待機命令:Stay-at-Home Order)が発令。外出禁止令(自宅待機命令)によりメリーランド州に住む全ての人は、以下を除いて自宅(home)または居住地(places of residences)に滞在することが求められることになりました。

  • 不可欠な活動(Essential Activities)を実施、または、参加すること。
  • 閉鎖が求められないビジネスおよび組織のスタッフおよびオーナーは、以下の場合に移動することができる。
    □自宅と、ビジネスおよび組織の間を往復すること。
    □商品の配送やサービスの提供のために、顧客との間を往復すること。
  • 基幹的でないビジネス(Non-Essential Businesses)のスタッフおよびオーナーは、以下の場合に移動することができる。
    □最小限の業務を従事するために、自宅と基幹的でないビジネスの間を往復すること。
    □商品の配送のために、顧客との間を往復すること。

※メリーランド州知事令第20-03-30-01号(2020年3月30日)の翻訳

外出が認められる不可欠な活動(Essential Activities)は次のように定義されています。

  • 自分自身、家族、世帯員、ペット、家畜のために、必要な物やサービスを入手すること。これには食料品、家庭で消費・利用する用品、在宅勤務に必要な用品や機器、ランドリー、自宅や居住地の安全、衛生、不可欠なメンテナンスに必要な製品などが含まれる。
  • 自分自身、家族、世帯員、ペット、家畜の健康と安全のために不可欠な活動に従事すること。これには医療、心身の健康、救急サービスを求めること、薬や医療品を入手することなどが含まれる。
  • 家族、友人、ペット、家畜を、別の世帯または場所でケアすること。これには不可欠な健康と安全活動のために家族、友人、ペット、家畜を輸送すること、必要な用品やサービスを入手することなどが含まれる。
  • 食事や遠隔学習のための教材を受け取るために、教育施設との間を往復すること。
  • ウォーキング、ハイキング、ランニング、自転車などアウトドアエクササイズに従事すること。(後略)
  • 法執行機関または裁判所命令により求められる移動をすること。
  • 必要な目的のために、連邦政府、州政府、地方自治体の建物との間を往復すること。

※メリーランド州知事令第20-03-30-01号(2020年3月30日)の翻訳


2020年4月15日には、買い物をする時、および、公共交通機関を利用する時にはマスク(フェイスカバー)着用を義務化する知事令が発令されています(2020年4月18日7時から発効)。

こうした動きと並行して検査体制も整えられ、2020年3月17日には州内全ての車両排気ガス検査場(VEIP=Vehicle Emissions Inspection Program)を閉鎖し、ドライブスルー方式の検査センターの設置が発表されています。

メリーランド・ストロング:復興のためのロードマップ(2020年4月)

2020年4月中旬になると感染防止の対応によって停滞している社会をどう再開するかの提案が見られるようになっています。
2020年4月16日にはトランプ大統領がアメリカ再開のためのガイドライン『オープニングアップ・アメリカアゲイン』(Guidelines for Opening Up America Again)を発表。

メリーランド州では2020年4月24日に『メリーランド・ストロング:復興のためのロードマップ』(Maryland Strong: Roadmap to Recovery)が発表されました。『メリーランド・ストロング:復興のためのロードマップ』では次の3つのステージに沿って、段階的に復興していくことが提案されています。

□低リスク(Low Risk)
「低リスクは復興の第一ステージであり、ビジネス、コミュニティ、宗教、生活の質の改善を含みます。・・・・・・
最初のステップは、「生活の質」(Quality of Life)の改善の幅広いカテゴリーに焦点を当てるもので、「自宅待機」命令(“Stay at Home” Order)の解除(および自主的な「より安全な在宅生活」ガイダンス(“Safer-at-Home” guidance)への移行)を伴います。」

□中リスク(Medium Risk)
「中リスクは、初期の復興の中ではより長いステージになるかもしれませんが、多くのビジネスや活動が復活するステージでもあります。この期間中に再開するビジネスは、厳格なフィジカル・ディスタンシングとマスク着用の要件を遵守する必要があります。」

□高リスク(High Risk)
「高リスクは、より野心的で長期的な目標です。このレベルでは、通常の状態に完全に戻るために、広く入手可能なアメリカ食品医薬品局(FDA=Food and Drug Administration)の承認を受けたワクチン、あるいは、重大な疾患のある患者を救ったり、最もリスクの高い人々の深刻な病気を予防したりできる安全で効果的な治療方法が必要になります。そのため、このレベルを達成するための科学の専門家からの現実的なタイムラインはまだありません。」
※『Maryland Strong: Roadmap to Recovery』(April 24, 2020)の翻訳

そして、3つのステージに沿って復興を進めるための構成要素として、次の4つがあげられています。

  • (1)第一線で働く医療従事者のための十分な個人用保護具(PPE=Personal Protective Equipment)の調達
  • (2)病院の収容能力(Surge capacity)の確保
  • (3)十分な検査能力(Testing capacity)の確保
  • (4)強固な接触者追跡(Contact tracing)プログラム

外出禁止令(自宅待機命令)から自宅待機に関する勧告へ(2020年5月)

2020年5月に入るとビジネスや活動を再開する具体的な動きが見られるようになります。
2020年5月6日には、ステージ1に移行する前に行うことが可能な活動として、緊急でない手術とアウトドア・アクティビティが発表されました。

外出禁止令(自宅待機命令)を解除し再開のステージ1に移行する前に、現在、州民が行える活動をいくつか特定した。これらの活動は公共衛生に関するガイドラインに従い、フィジカル・ディスタンシングをとることが前提

  • 緊急ではない手術(Elective Surgeries):メリーランド州保健局は病院に対してどのような手術が可能なのかガイドラインを提示する
  • アウトドア・アクティビティ:明日(2020年5月7日)7時から、ゴルフ、テニス、ボート、キャンピングなどアウトドア・アクティビティが可能になる。州立公園は全面的に再開され、州立公園の一部であるビーチはウォーキングやエクササイズのために開放、地方政府の管轄下にあるプレイグラウンドなども再開される

※2020年5月6日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。ただし、表現を改めている部分がある。

2020年5月15日の17時から外出禁止令(自宅待機命令:Stay-at-Home Order)が解除され、自宅待機に関する勧告(Safer-at-Home Public Health Advisory)に移行し、再開のステージ1が始まりました。

自宅待機に関する勧告への移行により、次のようなビジネスや活動の再開が可能とされました。

  • 小売店は最大収容人数の50%を上限として再開可。店の外でのピックアップと配達のオプションを引き続き強く奨励。例としては、洋服屋、靴屋、ペットの美容師(Pet groomer)、アニマルシェルター(animal adoption shelters)、洗車サービス、アートギャラリー、本屋
  • 製造業は安全・公衆衛生ガイドラインに従う形で操業開始可
  • 教会や礼拝所は再開可。アウトドアでの集会が強く推奨されるが、最大収容人数の50%を上限として適切な安全策をとった上で屋内での集会も可
  • パーソナルサービス(床屋と美容院)は予約のみ、50%の収容を上限として再開可。適切な安全ガイドラインに則る必要がある
  • 全ての州民、特に高齢者やハイリスクの方々は、できるかぎり自宅待機を続けるべき。雇用者はテレワークを推進し続けるべき。全ての州民は屋内の公共空間、公共交通機関、小売店内ではマスクをつけるべきである
  • 全ての州民はフィジカル・ディスタンシングをとり、10人超の集会を避けるべき。手洗いや頻繁にふれるエリアを消毒することも忘れないようにすること
  • ※2020年5月13日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。ただし、表現を改めている部分がある。

ステージ1への移行は柔軟かつ地域の状況に基づくアプローチであり、移行のタイミングは郡(County)や独立都市の判断に委ねられるとされています。

2020年5月29日17時からは、レストランやバーでの屋外ダイニング、VFW(Veterans of Foreign Wars)ポスト、エルクスクラブ(Elks Clubs)をはじめとする社交クラブ、友愛クラブにおける屋外ダイニング、ユーススポーツ活動、ユースデイキャンプ、屋外プール、ドライブインシアターが再開されました。

2020年5月末になると、検査も受けやすくなりました。当初、検査には医師の検査指示書(order)と予約が必要とされていましたが、2020年5月22日からは4カ所の検査場で医師の検査指示書や予約なしのドライブスルー検査が可能となりました。薬局・コンビニエンスストアのチェーンであるCVSの17店舗(ドライブスルー窓口)では、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が定める要件及び年齢に関するガイドラインを満たす人を対象に、ドライブスルー検査の受付が開始されました。これにより、新型コロナウイルス感染症に暴露した可能性がある人でも検査を受けることができるようになっています。2020年5月27日には、プリンスジョージズ郡アッパー・マルボロ(Upper Malboro)にあるテーマパーク「シックス・フラッグス・アメリカ(Six Flags America)」に、医師の検査指示書や予約なしで受検できる新たなドライブスルー検査場を設置することが発表されました。

再開ステージ1からステージ2へ(2020年6月)

2020年6月に入ると再開の動きがさらに進められます。2020年6月5日の17時から「基幹的でないビジネス」(Non-Essential Businesses)の閉鎖命令を解除し、ステージ2に移行しました。ステージ2では、次のようなビジネスが新たに再開されることとなりました。

  • ステージ2で再開されるビジネス:製造、建設、大小の小売店、専門業者、卸売業者、倉庫、IT企業、法律事務所、経理、銀行、金融機関、保険代理店、デザインスタジオ、広告、建築会社、メディア制作会社、不動産、旅行代理店、自動車ディーラーのショールーム、銀行の支店等
  • 追加的に再開されるパーソナルサービス:ネイルサロン、日焼けサロン、マッサージ・タトゥーパーラーなどのパーソナルサービスは、ガイドライン履行のもと、予約のみ、最大収容人数の50%以下で営業が可能

※2020年6月3日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。ただし、表現を改めている部分がある。

ステージ1への移行と同様、ステージ2への移行は柔軟かつ地域の状況に基づくアプローチであり、移行のタイミングは郡(County)や独立都市の判断に委ねられるとされています。

この後も、次のような追加的再開が行われました。

□2020年6月12日(金)17時から

  • レストランは、最大収容数の50%を上限として、屋内での飲食を再開可
  • 屋外アミューズメント(ミニチュアゴルフ、ゴーカートトラック、屋外プール等)は、最大収容数の50%を上限として再開可

□2020年6月19日(金)17時から

  • 屋内フィットネス活動(ジム、武術、ダンス等)は、最大収容数の50%を上限として再開可
  • カジノ、アーケード、モールは再開可

※2020年6月10日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。ただし、表現を改めている部分がある。

州外移動に関する勧告(2020年7月)

2020年7月末にとられた大きな措置は、州外への/からの移動に関する勧告が出されたことです。
2020年7月29日に州外移動に関する勧告が出されました。この勧告は、メリーランド州民を含め州外からメリーランド州に入る全ての人に、出発前か到着後に検査を受け、検査結果を待つ間は自己隔離(self-quarantine)を求めるというもの。さらに、陽性率が10%を超える州への訪問についても、陽性率が低下するまで訪問を延期・中止することが求められます。

  • 州外からメリーランド州に戻るメリーランド州民および州外からの訪問者は、メリーランド州到着後速やかに、または、メリーランド州への出発前72時間以内に、新型コロナウイルスの検査を受けるべきである。州外からの訪問者はメリーランド州への出発前72時間以内に検査を受け、陽性と判明した場合、旅行を中止することを勧める。訪問者は検査結果を待つ間、自宅で待機するか、ホテルで自己隔離(self-quarantine)すべきである。
  • 陽性率が10%を超える州を訪問するメリーランド州民は、検査を受け結果が判明するまで自宅で自己隔離(self-quarantine)すべきである。DCとバージニア州はこの勧告の適用外である。
  • 過去に解釈ガイダンスにおいて定義したエッセンシャルワーカーが不可欠な業務に従事するためにメリーランド州に戻る/到着する場合、また、日常的にメリーランド州を出る/メリーランド州に入る通勤者であって、職場において新型コロナウイルスのスクリーニング手続きが確保されている場合は、この自己隔離勧告の適用外である。

※2020年7月29日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。ただし、表現を改めている部分がある。

2020年7月29日には、2020年4月18日に発効した知事令を修正して、マスク(フェイスカバー)着用の義務化の範囲を拡大することが発表されました(2020年7月31日17時から発効)。
2020年4月18からは買い物をする時、および、公共交通機関を利用する時のマスク(フェイスカバー)着用が義務化されていましたが、以降は、全ての公共スペース、及び、適切な距離を確保できない屋外でのマスク(フェイスカバー)着用が義務化されることとなりました。

再開ステージ2からステージ3へ(2020年9月)

2020年9月1日には、2020年9月4日の17時からステージ3に移行することが発表されました。ステージ3への移行により、次のような変更が行われました。

□劇場(ライブパフォーマンス、映画)

  • 屋内施設:最大収容人数の50%以下もしくは100人以下(いずれか少ない方)の定員で営業可。
  • 屋外会場:50%以下もしくは250人以下(いずれか少ない方)の定員で営業可。

□小売店、宗教施設

  • 定員を50%から75%へ増加。

※2020年9月1日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。ただし、表現を改めている部分がある。

ステージ1・2への移行と同様、ステージ3への移行も柔軟かつ地域の状況に基づくアプローチであり、移行のタイミングは郡(County)や独立都市の判断に委ねられるとされています。

ステージ3への移行が発表された2020年9月1日には、メリーランド州政府はApple社・Google社が開発した接触者追跡の機能をもつ「Exposure Notifications Express」を導入することを発表しています。ただし、メリーランド州民がこの機能を利用するかどうかは任意とされています。

なお、検査場が整えられたのに伴い、2020年10月には車両排気ガス検査場(VEIP=Vehicle Emissions Inspection Program)を活用したドライブスルー検査場は全て閉鎖されました。

規制の強化(2020年11月)

このように徐々に社会が再開されてきましたが、2020年11月10日には、州内の陽性者数が7日間連続で1日1,000人以上を記録し、陽性率が2020年6月以降初めて5%を超えたことを受け新たな措置が発表されています。
新たな措置としては、レストラン・バーにおける屋内の収容人数を75%から50%に縮小すること、25人を超える公的・私的な集会への参加を控えることが発表されました。また、メリーランド州民を含め州外からメリーランド州に入る全ての人に、出発前か到着後に検査を受け、検査結果を待つ間は自己隔離(self-quarantine)を求めることも発表されています(2020年7月29日付の勧告の修正)。

2020年11月17日には、州内の陽性症例が13日間続けて1日1,000人以上を記録し、陽性率が6.85%を超えたことを受けて、次のような措置が発表されました。
発表された措置は、レストラン・バーは、テイクアウトやデリバリーを除いて22時から6時まで閉店すること、小売店、宗教施設の収容人数を50%に縮小すること、レーストラック、スタジアムへの観客の入場を禁止することなどです(2020年11月20日17時に発効)。
2020年12月17日にはメリーランド州保健局が感染者の急増を抑えるための対策として、10人を超える公的または私的な屋内での集会に出席するのを控えること、旅行は不可欠な目的のみに限定することを強く推奨すること、旅行に際しての必須の検査要件があること(旅行後に陰性の検査結果を取得するか、10日間の自己隔離が義務づけられている)をアドバイスとして公表しています。

ワクチン接種(2020年12月)

2020年12月11日、アメリカのファイザーとドイツのビオンテック製が共同開発したワクチンが食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)から緊急使用の許可を得て、2020年12月14日から接種が始められました。

メリーランド州では感染可能性や重症化の相対的なリスクに基づいて7つのフェーズがもうけられ、優先順位の高い人々から順番にワクチン接種が進められました
ワクチン接種は無料で、接種方法は大規模ワクチン会場(Mass Vaccination Site)で接種するか、薬局、病院・クリニック等で接種するかの2通りがあります(※メリーランド州におけるワクチン接種はこちら)を参照)。

ワクチン接種が進められ、2021年4月1日にはSalisburyの大規模ワクチン会場(Mass Vaccination Sites)では、接種対象者に対して「予約不要」のワクチン接種を行うことが発表されました。さらに、2021年4月6日には次のようにスケジュールの前倒しが発表されました。

  • 2021年4月6日から、16歳以上の全ての住民が大規模ワクチン会場(Mass Vaccination Site)におけるワクチン接種の対象となる。
  • 2021年4月12日から、16歳以上の全ての住民が全てのワクチン提供機関においてワクチン接種の予約ができるようになる。

※2021年4月6日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。

2021年5月10日、アメリカ食品医薬品局(FDA)が、ファイザー製ワクチンの緊急使用対象に12~15歳を含めることを承認。これを受けて、メリーランド州でも12~15歳に対するワクチン接種が始められました。

2021年9月22日、アメリカ食品医薬品局(FDA)がファイザー製ワクチンの3回目の接種(ブースター接種)を承認。これを受けて、2021年9月24日、CDCが推奨方針を発表しました。対象者は、2回目の接種から6ヶ月が経過した以下に該当する人とされています。

  • 65歳以上の層および長期の介護施設の居住者は接種を受けるべき
  • 50~64歳で、特定の基礎疾患(注1)がある層は接種を受けるべき
  • 18~49歳で、特定の基礎疾患がある層は、個人の利益・リスクに基づき接種を受けられる
  • 18~64歳で、職業的な理由から新型コロナウイルスへの露出リスクが高い層は、個人の利益・リスクに基づき接種を受けられる

※2021年09月27日のJETROビジネス短信「米FDA、65歳以上と高リスク層への3回目のファイザー製ワクチン接種を承認、CDCも推奨」より。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のガイダンスでは、2回接種のワクチンの場合、2回目の摂取から2週間以上経過した人、1回接種のワクチンの場合、摂取から2週間以上経過した人がワクチン接種完了者(People Fully Vaccinated)と定義されています。2021年10月31日時点で、ワクチン接種完了者(People Fully Vaccinated)は約400万人。約600万人の人口の3分の2がワクチン接種を完了していることになります。
日本は、ワクチン接種の開始時期は遅かったものの、2021年11月1日時点のワクチン接種完了者は72.5%となっており、メリーランド州の割合を超えています(※日本経済新聞「チャートで見る日本の接種状況 コロナワクチン」(2021年11月2日最終更新)のページより)。

規制の緩和(2021年3月)

ワクチン接種が進んだことから、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は2021年3月8日、ワクチン接種完了者についてのガイダンス「ワクチン完全接種者に対する公衆衛生上の暫定的な推奨事項」を発表。
2021年3月8日には、ワクチン接種完了者同士はマスクを着用せず室内で会うことができることが発表されました。

その後、ガイダンスは次のように更新されました。2021年4月2日にはワクチン接種完了者は、移動前後の検査及び旅行後の自己隔離が不要とされました。2021年4月27日には、ワクチン接種完了者は屋外でのマスク着用が不要とされました。さらに、2021年5月13日には、規則やガイダンス等により求められる場合を除き、屋内外でのマスク着用、及び、6フィートの距離確保は不要であるとされました。


メリーランド州は、2021年3月9日、ワクチン接種が加速し、新型コロナウイルス感染症に関する健康指標が安定して改善している状況を受けて一部の規制緩和を発表しました(2021年3月12日から)。

  • 小売店等の収容人数制限の撤廃:宗教施設、小売店、パーソナルケア、屋内レクリエーション施設、バー、レストラン、フィットネスセンターなどでの収容人数制限(上限50%)を撤廃。ただし、バーやレストランでの立食は不可。
  • 大規模施設の収容人数制限緩和:屋内・屋外の大規模施設(映画館、コンサート会場、コンベンションセンター、ウェディング会場、屋外エンターテイメント施設、スポーツ観戦施設など)は、上限50%の収容人数制限にて営業可能。
  • 成人向けデイケアセンターの再開:これまで閉鎖されていた全ての成人向けデイケアセンターを再開可能。

※2021年3月10日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。

2021年4月28日には、バーやレストランにおける規制の解除が発表されました(2021年5月1日から)。

  • バーやレストランでは、屋外での立食サービスが再開可能。
  • バーやレストランでの屋外飲食については、収容人数と距離確保に関する規制を全て解除。ただし、屋内での飲食については1テーブル10人までとすること、グループ毎に6フィート以上の間隔をとること、着席サービスのみとすることなどの規制は継続。

※2021年4月30日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。

そして、2021年5月12日には収容人数等の規制の全面解除が発表されました(2021年5月15日から)。

  • 屋内・屋外の大規模施設は通常の営業を再開可。屋内エンターテイメント施設、コンベンションセンター、屋外エンターテイメント・スポーツ・芸術施設等における現行の収容人数規制は全て解除される。
  • レストランやバーは通常の営業を再開可。屋内・屋外での飲食に関する現行の収容人数及び距離確保その他制限は全て解除される。

※2021年5月14日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。

規制の再強化(2021年7月)

このように感染防止対策は緩和され、新型コロナウイルス感染症は収束を迎えつつあると思われましたが、2021年7月27日、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が、アメリカにおけるデルタ株感染拡大をふまえて、ワクチン接種完了者に関する推奨事項(Recommendations)を次のように改訂しました。

(1)ワクチン接種完了者であっても感染のレベルが高い地域(Substantial transmission:相当の感染、または、High Transmission:高い感染)においては、公共の屋内環境でのマスク着用を推奨。

(2)ワクチン接種完了者であっても、地域における感染状況にかかわらず、以下に該当する場合は、マスク着用を考慮(might choose to wear a mask)。

  • 免疫不全である人
  • 感染による重症化リスクが高い人
  • 疫不全や重症化リスクが高い人、またはワクチン接種未完了の人と同居している人

(3)ワクチン接種完了者であっても、濃厚接触者は接触後3~5日以内に検査を行い、14日間または陰性結果が出るまでは、公共の屋内環境ではマスク着用を推奨。

(4)ワクチン接種状況にかかわらず、全ての教師、学校関係者、生徒、学校訪問者のマスク着用を推奨。
※2021年7月27日配信の在アメリカ合衆国日本国大使館「領事メール」より。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のCOVID Data Trackerでは地域の感染レベルが、○高い(High)、○相当の(Substantial)、○中程度の(Moderate)、○低い(Low)の4段階に分けられています。2021年10月末時点では、メリーラン州のほぼ全域が○高い(High)、○相当の(Substantial)に該当しています。


メリーランド州では2020年3月上旬の最初の感染者の発見から2週間余りで「基幹的でないビジネス」が営業停止となり、1ヶ月弱で不可欠な活動以外での外出を禁止する外出禁止令(自宅待機命令)が、約6週間でマスク(フェイスカバー)着用の義務化が出されています。そして、検査体制も急速に整備されていきました。
2020年4月下旬には『メリーランド・ストロング:復興のためのロードマップ』。そして、2020年5月中旬には外出禁止令(自宅待機命令)から自宅待機に関する勧告と再開ステージ1への移行が行われ、2020年5月末にはレストランでの屋外ダイニングが再開。2020年6月上旬には再開ステージ2への移行が行われ、2020年6月中旬にはレストランやバー内での食事が再開されてきました。そして、2020年9月上旬には再開ステージ3への移行が行われました。しかし、感染者数、陽性率の上昇により、2020年11月には規制を強化するための措置が取られることになりました。
2020年12月からはワクチン接種が始まり、2021年4月には16歳以上の全ての人がワクチン接種対象者となりました。そして、2021年5月15日には収容人数等の規制の全面解除が行われました。ただし、2021年7月末以降は再び感染者数が増加しており、新型コロナウイルス感染症の収束は容易ではないことがわかります。しかし、死亡者数は感染者数のように大きく増加しているわけではありません。2021年9月末からはファイザー製ワクチンの3回目の接種(ブースター接種)も始まっています。

これまでのメリーランド州の動きを振り返れば、次のような特徴があると言えます。

  • 「基幹的でないビジネス」の営業停止、外出禁止令(自宅待機命令)、マスク着用の義務化というように、感染防止のための厳格な対応が早期に出されていること。
  • どのようなビジネスが禁止されるのか、どのような活動が禁止されるのかなどが罰則を伴う法として明確に定められていること。
  • 社会を再開するための条件とロードマップが明確にされており、感染が縮小すれば規制を徐々に緩めていく、反対に、感染が拡大すれば規制を強めるというアプローチがとられていること。

メリーランド州の動きは、行政からの要請を受けたり、世間の目に対応したりすることで、あくまでも「自粛」として感染防止が行われきた日本とは異なることがわかります。また、検査数が多いこと、ワクチン接種の開始時期が早かったことも日本との違いです。ただし、ワクチン接種率については日本がメリーランド州を逆転しており、ワクチン接種の開始時期が早いことと、ワクチン接種率が高いこととはイコールでないことがわかります。

新型コロナウイルス感染症の収束の見通しは立っておらず、また、新型コロナウイルス感染症への対応方法については、国による状況も違うためアメリカと日本のどちらの対応が良いかは単純に比較できませんが、後から振り返った検証が行われると考えています。