シンガポールのトア・パヨ(Toa Payoh)にHDBの本部(HDBハブ)があります。HDBはHousing and Development Board(住宅開発庁)の略で、シンガポールでは国民の約8割がHDが建設する住宅に住んでいると言われています。
HDBハブには、HDBの歴史や取り組みを紹介するギャラリーのほかに、ホールではHDBの計画手法や最新のプロジェクトなどがパネルや模型によって紹介されています。最新のプロジェクトとして建設される住戸の購入を検討していると思われる人を含め、ホールの展示を熱心に見ている人を多数見かけます。
(HDBのホールの展示)
以前の記事で、近年、HDBが開発する街では、ホーカーセンター、図書館、ホール、多目的ホール、音楽スタジオ、商業施設、体育館、プールなど様々な機能を統合した巨大な複合施設が作られていることを紹介しました。
HDBのホールの展示で、このような施設についての展示を見かけましたので、展示をもとに改めてご紹介したいと思います。
展示によると、統合開発(Integrated Development)は、居住者の利便性を高めることと、コミュニティの交流(community interaction)のためのスペースを提供することを目的とするものであり、統合される機能として9つがあげられています。
- ①公園・遊び場(Parks & Playground)
- ②コミュニティ・ガーデン(Community Garndens)
- ③コミュニティ・プラザ(Community Plaza)
- ④コミュニティ・クラブ(Community Clubs)
- ⑤小売店(Retail & Shops)
- ⑥ホーカー・センター/飲食店(Hawker Centre / F&B(Food & Beverage))
- ⑦ヘルスケア施設(Healthcare Facility)
- ⑧チャイルドケア・高齢者ケア・センター(Childcare and Eldercare Centres)
- ⑨スポーツ施設(Sports Facilities)
近年の統合開発として以下の6つが紹介されています。
(カンポン・アドミラルティ)
(オアシス・テラス)
統合されている機能は、①公園・遊び場、②コミュニティ・ガーデン、③コミュニティ・プラザ、⑥ホーカー・センター/飲食店が6施設全て、⑤小売店は5施設、⑧チャイルドケア・高齢者ケア・センターは4施設となっています。これより、近年の統合開発によって作られている複合施設は、コミュニティに加えて、商業、ケアを中心とする機能が統合されていることがわかります。
このような場所は、千里ニュータウンの近隣センターを1つの大きな施設として複合したものに近いと言えるかもしれません。実際、展示で紹介されているプンゴル(Punggol)のオアシス・テラス(Oasis Terraces)は、HDBハブのギャラリーにおいて「新世代の近隣センター」(new generation Neighbourhood Centre)と表現されています。